
金環日食と東京スカイツリー開業で空を見上げ、ロンドン・オリンピックのメダルラッシュに大興奮、自民党圧勝でついに政権が交代。残念至極な訃報も相次ぎました。そんな2012年の1年間に、REALTOKYOの寄稿家とスタッフが「これはよかった!」とぞれぞれの独断と偏見で太鼓判を押す「私の10大イベント」。今回で6回を数えるこの企画、一挙大公開です。
選者:澤隆志
一日にイベントをはしごする東京の日常から切り離された1は、豊かで異質な体験が印象深かった。近郊美術館への小さな旅はオススメ。2, 5, 7, 10は繰り返しつつも更新される記憶と知覚のせめぎ合い。三宅唱は我々の持つ映画的記憶を物語にうまく溶け込ませていた。ホン・サンスはもはや様式美! 3のオープニングシーンは映画の良心。4は感傷から物理への飛躍。感情から最も遠い映画だと思う。広大な空間にいながらも、6はレコードの針先に、8はアーティスト/マジシャンの指先に釘付けになるスリルを体感。9はシアターNのクロージング作品。ラストのドールズ登場シーンは、プロデューサー、広報、物販など全ての興行師の夢である!!
選者:白坂ゆり
東京以外の地域での独自企画が増えていて、志賀理江子展(せんだいメディアテーク)や中原浩大展(伊丹市立美術館)、横尾忠則現代美術館開館(神戸)なども挙げておきたい。巡回したホンマタカシ展は、最終地の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が、草間彌生展は故郷の松本市美術館が一番よかった。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」は、10年を過ぎて「ローカルの問題を世界で共有する国際展」として見えた。「3.11とアーティスト:進行形の記録」(水戸芸術館)は、現在の動きを集めて一つの「場」づくりを試みていた。「音まち」の足立智美の「ジョン・ケージ『ミュージ・サーカス』」と野村誠の「だじゃれ音楽」は続けていく中で大化けしそう。
選者:乗越たかお
様々な意味で「節目」を感じさせた年だった。内容の充実を見たトリエンナーレの最中に青山劇場・円形劇場の閉鎖を厚生労働省が発表、反対運動が起こる一方で、神楽坂ディ・プラッツが閉館。新人賞が新設されつつ、おなじみの賞にも新しい顔ぶれが登場してきた。ヒップホップとクラシックの融合や、舞踏の二大巨頭の顔合わせなど「融合」の成果も見られた。また「震災後の異常な状況下で日常を生きる」ことを描く骨太の作品が「生む性」である女性振付家を中心に作られた。KENTARO!!は12日間連続公演という、日本の上演形態への挑戦。そしてバットシェバ舞踊団のナハリンは、世界の悲劇の先に、アートこそが持ちうる希望を示してくれた。
選者:福嶋真砂代
![]() |
ヴァージン(ふかくこの性を愛すべし) |
![]() |
人生はビギナーズ |
![]() |
少年と自転車 |
![]() |
きっとここが帰る場所 |
![]() |
聴こえてる、ふりをしただけ |
![]() |
桐島、部活やめるってよ |
![]() |
ボブ・マーリー ルーツ・オブ・レジェンド |
![]() |
映画と恋とウディ・アレン |
![]() |
死刑弁護人 |
![]() |
ウォリスとエドワード |
特に編集のおもしろさが光る邦画に出逢えた。なかでも『桐島、部活やめるってよ』は学園映画の新しいカタチとポテンシャルを提示。また衝撃的だったのはオムニバス『ヴァージン』の『ふかくこの性を愛すべし』(吉田光希)、映像のクールさと女性のコアを捉える熱の高さ、その温度の融合が見事。『聴こえてる、ふりをしただけ』はシンプルだが子供の内面を鋭く描いた。野中はな(聴こえてる…』)と正木佐和(『ふかくこの性を…』)にはW主演女優賞を。ドキュメンタリーではボブ・マーリー、ウディ・アレンの秘蔵映像満載の貴重な2本と、地味なテーマを粘り強く追った『死刑弁護人』は特筆すべき。今年も映画オンリーの10本になりました。
選者:前田圭蔵
昨年は仕事多忙で、見に行けなかった公演や展覧会も多かった。映画ではアン・リンセル監督『ピナ・バウシュ 夢の教室』やヤン・ヨンヒ監督『かぞくのくに』も印象的であった。また、新宿ロフトで久しぶりに見た戸川純のライブは、長い闘病生活を送りながらも、力強い歌唱で心に沁みた。
選者:松丸亜希子
![]() |
セイジ―陸の魚― |
![]() |
ARICA 第20回 新作公演「恋は闇/LOVE IS BLIND」 |
![]() |
ル・アーヴルの靴みがき |
![]() |
少年は残酷な弓を射る |
![]() |
ミッドナイト・イン・パリ |
![]() |
テイク・ディス・ワルツ |
![]() |
夢売るふたり |
![]() |
ル・コルビュジエの家 |
![]() |
ホン・サンス/恋愛についての4つの考察 |
![]() |
第13回東京フィルメックス |
観た順に。諸事情あって試写にも劇場にもなかなか出かけられず、映画はサンプルDVDを借りることが多くなってしまいました。だけど、やっぱりみんなと一緒に感動を分かち合いたい! 取材もしたい! 自由な時間がほしい!!!
選者:ヨコウチ会長
自分が心から笑って、心から泣いて、つくづく面白いな~、と思ったものをここでは10、選びましたが、載せきれなかった作品については、ブログ「14歳と288ヶ月・別館」に掲載いたしております。
選者:河内山シモオヌ
1 | ![]() |
2ピアノ4ハンズ |
---|---|---|
2 | ![]() |
シュツットガルト・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』 |
3 | ![]() |
ミリオンダラー・カルテット |
4 | ![]() |
ウィーン国立歌劇場『アンナ・ボレーナ』『フィガロの結婚』 |
5 | ![]() |
ウィーン・フォルクスオーパー『こうもり』『メリー・ウィドウ』 |
6 | ![]() |
ボリショイ・バレエ『スパルタクス』 |
7 | ![]() |
預言者 |
8 | ![]() |
第25回東京国際映画祭 |
9 | ![]() |
会田誠展「天才でごめんなさい」 |
10 | ![]() |
演劇1・2 |
来るのを数年待ち、当日はもう祭り状態で観たら驚きと確信がもたらされ、それが自分の中で持続的な思考となり、また止むことのない人間考察に繋がっていく。2012年は、そういうすばらしい作品・カンパニーが揃いました。8は特に『ストラッター』『もうひとりの息子』『サイド・バイ・サイド』そしてロジャー・コーマン氏と、TIFF関連イベントの『ポーランド映画祭』へ。
1 | ![]() |
FOOD日本ツアー2012 |
---|---|---|
2 | ![]() |
モリイクエ「黄表紙プロジェクト」 |
3 | ![]() |
NO NUKES 2012 |
4 | ![]() |
JAZZ ART せんがわ2012 |
5 | ![]() |
ランディゴ |
6 | ![]() |
SUKIYAKI TOKYO 2012 |
7 | ![]() |
ペンギン・カフェ 来日公演 |
8 | ![]() |
ゆったりライブの旅 フェスティバル2012 |
9 | ![]() |
meadow Japan tour 2012 |
10 | ![]() |
アートと音楽-新たな共感覚をもとめて |
音楽イベント10選。3はクラフトワーク、YMO、忌野清志郎(映像で)等出演の坂本龍一主催の反原発フェス。そして勿論、多くの反原発デモ~パレードは重要な出来事(今年もね!)。4は巻上公一がプロデュースする即興音楽フェス。5はフジロック出演のレユニオンのバンドの単独公演。6は富山のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに来日した3組の単独公演。10は生誕100年のジョン・ケージの名曲「4分33秒」の演奏の映画の上映が良かった。しかし、最大のびっくりイベントは、やはり師走の選挙だったか? 暗黒の4年間が始まるという説もあるが、これもまた歴史のヒトコマだ。愛と希望でノリと気合いで、明日に向かってサバイブしようぜ!