演劇1・2
劇作家「平田オリザ」を追った観察映画第3・4弾を同時発表した想田和弘監督。『1』では稽古や舞台裏に密着、文節化されたセリフを細かくコントロールして表現する役者の“身体性”を写し出し、観客は平田演劇をたっぷり体感する。続く『2』は、政治家と交流する平田、フランス公演での平田、ロボット相手に演出する平田、そのマルチな活躍の場にカメラが活き活きと入り込み、次々と現れる興味深い出来事に恐らくニヤリとしている想田とシンクロしながら、トータル5時間42分の長尺が痛快に過ぎていく。だけど居眠りするオリザさん、やっぱり演じてるのだろうか…。


『演劇1』
観察映画第3弾
日本を代表する劇作家で演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇
団・青年団。『演劇1』は、その創作現場にカメラを向け「平田オリザの世界」を徹底解剖する。台詞や動きがあまりに複雑かつ自然な平田作品を、即興の産物であると勘違いする観客もいる。しかし、台詞はすべて平田によって戯曲に書き込まれ、俳優の動きや仕草は細心の注意を払って練り上げられたものである。したがって、稽古場は修羅場と化す。現実世界を原寸大で再現した、精密モデルのような超リアルな舞台の裏では、極めて不自然で徹底的な操作が行われているのだ。「“本当の自分”などない。人間とは“演じる生き物”であり、あるのはペルソナだけだ」と平田は喝破する。想田和弘監督は、戯曲の執筆、稽古、照明、美術、劇団運営の実際など、あらゆる活動に密着し、その哲学や方法論、組織論を描き出す。同時に、人類誕生以来、太古の昔から続いてきた「演劇」という営みに挑むのだ。
上映時間:2時間52分
『演劇2』
観察映画第4弾
演劇とは、コストも時間もかかる超アナログな芸術である。逃れがたく経済が付き纏う。青年団の事務所には『三文オペラ』の文句が掛けられている。「まず食うこと それから道徳」。しかし、不況と財政難で公的な芸術関連予算は縮小傾向に。この逆境に対する平田の戦略は、シンプルかつ遠大なものだった。「演劇が社会にとって必要不可欠である事」を世間に納得してもらおうというのだ。平田は文字通り東奔西走する。教育現場や地方の演劇祭、果てはメンタルヘルスケア大会まで、その知識とノウハウを伝えていく。政治家への働きかけも積極的だ。他方で、海外進出やキラーコンテンツとしての「ロボット演劇」など、助成金に頼らない劇団経営を模索する。『演劇1』が「平田オリザの世界」ならば、『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。それは、演劇という芸術を通して、高度に資本主義化された現代社会を問い直す試みでもある。
上映時間: 2時間52分
『演劇1』『演劇2』に登場する主な演目
『ヤルタ会談』/『冒険王』/『サンタクロース会議』/『火宅か修羅か』『東京ノート』/『働く私』/『砂と兵隊』/『森の奥』/『隣にいても一人』広島編
監督・製作・撮影・編集: 想田和弘
シアター・イメージフォーラム日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-10-2 |
アクセス | 「渋谷駅」東口から宮益坂を上り、青山通りへ。50m程先の横断歩道を渡り、薬局とコーヒー店の間を入りすぐ。 |
電話番号 | 03-5766-0114 |
会場ホームページ | http://www.imageforum.co.jp/theatre/ |
日程 | 2012年10月20日~2012年11月23日 |
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