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REALTOKYO寄稿家と編集部スタッフが選ぶ 2013年「私の10大イベント」

東京スカイツリーからのテレビ放送が始まり、『あまちゃん』『半沢直樹』が異例の大ヒット。富士山が世界文化遺産、和食がユネスコ無形文化遺産となり、2020年東京オリンピックが決定したものの、都知事不在のまま年越しへ。
そんな2013年、REALTOKYOの寄稿家とスタッフが「これはよかった!」とぞれぞれの独断と偏見で太鼓判を押す「私の10大イベント」。今回で7回を数えるこの企画、一挙大公開です。

Date: January 30, 2014

選者:うにたもみいち

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1 music Ailee日本デビューシングル「Heaven」リリース記念イベントGRAND FINAL
2 music クレヨンポップ
3 stage Kミュージカル『兄弟は勇敢だった?!』(日本初演)
4 stage トーキョーインターナショナルプレイヤーズ『アヴェニューQ』
5 stage ミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』
6 stage パリ国立シャイヨー劇場 ジョゼ・モンタルヴォ『トロカデロのドン・キホーテ』
7 stage ナカゴー特別劇場vol.10『アーサー記念公園の一角』『牛泥棒』
8 stage 城山羊の会『身の引きしまる思い』
9 stage DuckSoup produce 2013『音楽家のベートーベン』
10 cinema ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜(ディレクターズカット版)

昨年東京では韓国ミュージカル上演多数あり。就中幾度も観に行ったのは「兄弟は勇敢だった?!」。この作品で韓劇史に金字塔を打ち建てた作者チャン・ユジョン女史に劇場でサインを頂戴し満足至極。しかし日韓関係の冷気が災いし国内韓流市場は下降気味。超大型歌手エイリ日本デビューも振るわず。但しそのおかげで、彼女のドサ回り営業の小ステージにてド迫力パフォーマンスを間近に堪能できたのは皮肉な恩恵。またクレヨンポップの衝撃的な直列五気筒ダンスも、韓国で頂点に立つ直前に新宿の小さなライブハウスで鑑賞できて幸運。韓流以外では、日本在住外国人劇団TIPによる「アヴェニューQ」が意外やハイレヴェルの上演だったことが特筆もの。

 

 

選者:河内山シモオヌ

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stage ブベニチェク・ニューイヤーガラ 〜カノン〜
cinema テッド
cinema 塀の中のジュリアス・シーザー
cinema キャビン
stage 歌舞伎座新開場こけら落とし
cinema ビル・カニンガム&ニューヨーク
art 福田美蘭展
stage ミラノ・スカラ座 歌劇場/リゴレット バレエ団/ロミオとジュリエット
cinema 第26回東京国際映画祭
stage 知られざる忠臣蔵

『ビル・カニンガム&ニューヨーク』は、虚しいものに無尽蔵の面白さを見つけたひとりの天才の、目くるめく早さで動く凄まじいエネルギーそのものを捉えることに成功しました。第26回TIFFでは、多彩な手法と優れた観察眼を持つ作品を揃え、映画祭の知性を担っていたnatural TIFFが消失。でも一昨年のアジアの風『伝説のホラー&ファンタ王国カンボジア』特集と第14回FILMeX『THE MISSING PICTURE』の上映が、個人的に切り離せない、2つで1つの重要なイベントになったように、新設の部門から伸びる導線に期待します。歌舞伎座は弁天・将門・盛綱・石切梶原・二人道成寺・喜撰・俊寛・狐狸狐狸・渡海屋・忠臣蔵(十一月六段目)が特によかったです。東京以外では四月金丸座も。

 

 

選者:澤隆志

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1 art 美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年
第2部:実験場1950
2 art 現代への扉 実験工房展 戦後芸術を切り拓く
3 town 湘南電気実験博覧会
4 cinema ザ・マスター
5 cinema イメージフォーラム・フェスティバル2013
『リヴァイアサン』
6 cinema 東京国際映画祭
『ボーグマン』
7 cinema 東北記録映画三部作
8 stage フェスティバル/トーキョー13
フォースド・エンタテインメント:The Coming Storm -- 嵐が来た
9 music Double meaning』の植村昌弘&山本達久
10 music エクス・エクス・エクス・ポナイト!!!!!』の空間現代

2013年は『あいちトリエンナーレ』に注力してなかなかイベントに行けず…。1、2は戦後復興期のパワフルで軽やかな細部を再確認できた展示。それは7の震災記録映画にも響いてくるが、7は危機を経験した日本人の顔色、声色をこそ見てほしい。海外の方にも。3はテスラ愛に満ちた講演とパフォーマンス。4はホアキンの顔芸! そして演奏シーンとBGMがシームレスにつながる音響映画でもあった。超小型HDカメラが大海原のトロール船を駆け巡る"ノーファインダー映画"の傑作5は、偶然のアングルで我々を圧倒する。結果、クトゥルー的「はたらくおじさん」映画となった。プライベートな空間に侵入する異物を描いた6はショッキングでユーモラスな殺戮シーンが忘れられない。8は語りを語りで奪い合う緻密な悲喜劇。ドラムっていいな!! と再確認した9と10。

 

 

選者:ふかさわ・めぐみ

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art 宮永愛子展「house」
art 高谷史郎 明るい部屋
stage 混浴ゴールデンナイト!in東京
stage 川口隆夫新作ソロ公演:大野一雄について
art ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー 「嬰へ短調の実験」
art マリオ・ジャコメッリ 写真展:THE BLACK IS WAITING FOR THE WHITE
art フランシス・ベーコン展
cinema 楽隊のうさぎ
art 生誕100年松本竣介展
art 佐藤真生展 _家 HOME _

『宮永』『高谷』はその"崇高"の域にただただ圧倒。『混浴』は終演後、"金粉ショー"を文化遺産としてぜひ残すべきと都築響一さんとともにアツコ・バルーさん(会場のサラヴァ東京代表)に熱く迫ったのが印象的(笑)。『川口』は舞踏とコンテの甘きマリアージュ。『カーディフ』は、「あいちトリエンナーレ」の「40声のモテット」を観られなかったのが残念。『ジャコメッリ』や『ベーコン』に関しては注釈はいらないでしょう。『楽隊』は、日本の単館映画文化を応援する意味で。『松本』は初の大回顧展で新たな発見しきり。『佐藤』は、原色が実はとっても切ないことを教えてくれた。

 

 

選者:福嶋真砂代

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cinema 先祖になる
cinema ゼロ・グラビティ
cinema 三姉妹〜雲南の子
cinema ビル・カニンガム&ニューヨーク
cinema はじまりのみち
cinema 孤独な天使たち
cinema 楽隊のうさぎ
cinema 映画「立候補」
cinema ブリングリング
cinema スプリング・ブレイカーズ

『先祖になる』直志おじいちゃんの清々しい笑顔で幕を開けた2013年、続いて『三姉妹〜雲南の子』の子どもたちにド肝を抜かれ、『ビル・カニンガム&ニューヨーク』のビルは自転車で軽やかに現れた。追い打ちをかけるように『映画「立候補」』の鋭いキック、ドキュメンタリーの勢いに完全に圧倒された前半戦。しかし中盤、『はじまりのみち』『孤独な天使たち』『天使の分け前』とじわじわ濃密なドラマが巻き返し、さらに『共喰い』『凶悪』『父の秘密』と強烈なボディーブロー。あげく『ゼロ・グラビティ』で一気に暗黒の宇宙に放り出されて初の3Dノックダウン、重力と酸素に感謝しきりの年末に。新年もしっかりサバイバルできますように。

 

 

選者:PPQ(フジカワ・PAPA-Q)

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music スキヤキ・トーキョー 2013
music 第12回 東京JAZZ
music "喉歌" の源流へ 〜南シベリアのホーメイとカイ〜
music イマニー・ファースト・ライブ・イン・ジャパン「こころの歌」
music カルロス・ヌニェス特別公演
music FOOD featuring Christian Fennesz japan tour 2013
music モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき2013
music EGO-WRAPPIN': MIDNIGHT DEJAVU
music ゴンチチのクリスマス2013
music ヒカシュー結成35周年記念「万感のクリスマス」

音楽ライブ開催順。1:ジンバブエのオリバー・ムトゥクジらワールド系4組の貴重な公演。2:イスラエル出身でNYで活躍するジャズ演奏家群が話題だが、その1人、ギターのヨタム・シルバースタインが出演。今後もイスラエル・ジャズは要注目。3:トゥバとアルタイの最高の歌手陣の競演。5:共演したバスクのバンド、オレカTXは最高。6:共演したカフカ鼾(ジム・オルーク、石橋英子ら)は最高。7:キューバのピアノ巨匠チューチョ・バルデスは最高。8:エゴの新譜で1曲作詞を担当した大竹伸朗がDJで参加。9:響きの良い空間でのアコギは最高。10:プラスチックス、チャラン・ポ・ランタン、坂田明ら豪華な共演者。2014年、政治・社会状況が激動中だ。明日何が起きるか分からないから、面白く生きるしかないな、こりゃ。

 

 

選者:前田圭蔵

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1 music JAZZ WEEK TOKYO 2013
エグベルト&アレクサンドル・ジスモンチ
2 music 清水靖晃&サキソフォネッツ:キャンドルナイトコンサート 2013
3 stage マギー・マラン『Salves -サルヴズ』
4 stage ふじのくに⇄せかい演劇祭2013
クロード・レジ『室内』
5 cinema 風立ちぬ
6 stage 池田扶美代×山田うん『amness』
7 stage フェスティバル/トーキョー13
ラビア・ムルエ連続上演『雲に乗って』
8 stage フェスティバル/トーキョー13
バック・トゥ・バック・シアター『ガネーシャ VS. 第三帝国』
9 stage チェルフィッチュ『地面と床』
10 music 大友良英年末4デイズ

2013年は、公演のため訪れていたテルアビブで新年を迎えた。リニューアルした東京芸術劇場と、『あいちトリエンナーレ』でもパフォーミング・アーツのプログラムに関わり充実した1年で、それらの企画や劇団唐組『鉛の兵隊』『糸女郎』、セシル・テイラーと田中泯デュオ、ARICA『ネエアンタ』『しあわせな日々』等印象的な公演が多々ある。清水靖晃は、カール・ストーンとのデュオ・プロジェクト『Just Breathing』や『キューティー&ボクサー』のサントラでも面目躍如。池田扶美代×山田うんは、改めてダンスの可能性を鮮明に焼き付けた。朝から『あまちゃん』で活力をもらい、大晦日にも出色のギタープレイを聞かせてくれた大友良英に最敬礼を!

 

 

選者:松丸亜希子

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cinema 横道世之介
cinema 偽りなき者
cinema ホーリー・モーターズ
cinema 三姉妹〜雲南の子
cinema 箱入り息子の恋
cinema 映画「立候補」
cinema そして父になる
cinema 鑑定士と顔のない依頼人
cinema 祭の馬
cinema キューティー&ボクサー

ドキドキさせてくれた映画10本を公開順に。まーしゃ(福嶋真砂代)さんと地道に取材し続けたREALTOKYOのインタビューがついにVol.100を達成! は〜、私たち、よくぞここまでがんばったよね! と感慨に浸った2013年末。10本を選びながら、お会いした監督たちのお顔が浮かびました。東京圏外ながら、『あいちトリエンナーレ2013』で観た舞台作品、ARICAの『しあわせな日々』にもドキドキ。2月の横浜での再演をお見逃しなく。

 

 

選者:ヨコウチ会長

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stage グループる・ばる『片づけたい女たち』(再演)
stage 野鳩とナカゴー『ひとつになれた』
cinema オズ はじまりの戦い
stage 城山羊の会『効率の優先』
stage 大長編 男肉 du Soleil『石田剛太のスペース☆コブラ』
stage 本能中枢劇団 別冊オトメチックルネッサンス『やりかけ恋のバッキン』
stage Kミュージカル『兄弟は勇敢だった?!』(日本初演)
stage 少年王者舘『ハニカム狂』
stage ヨーロッパ企画『建てましにつぐ建てましポルカ』
stage 『ええから加減』(再演)

2013年にグッときたもの(上演順)、再演モノも入れました。その他、古屋隆太様がカッコよすぎた青年団『走りながら眠れ』(再演)、ミュージカル界の星による『4Stars』、役者と戯曲が最高にマッチした劇団唐ゼミ☆『夜叉綺想』、よみがえったKUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』(再演)、唐十郎様の愛息・佐助様のきれいなお尻! 唐組『糸女郎』(再演)、生・田中未知様のトークに感動『いまだ知られざる寺山修司展』、テニスコートのかわゆいコント『おふざけマンドリルとお調子モンブラン』、野口かおる様熱演のcarne『売春捜査官』(再演)、情感とエロ! 城山羊の会『身の引きしまる思い』等。詳しくはブログ「14歳と300ヶ月・別館」にて。