COLUMN

outoftokyo
outoftokyo

Out of Tokyo

074:東京R不動産
小崎哲哉
Date: November 13, 2003
東京R不動産 | REALTOKYO
右より、東泉一郎、八谷和彦、宇川直宏、佐藤直樹、原田幸子、玉田俊雄の各氏。左端が筆者

「東京デザイナーズブロック セントラルイースト」のトークイベントに招かれ、宇川直宏、佐藤直樹、玉田俊雄、八谷和彦、原田幸子、東泉一郎の諸氏と話してきた。ちょっと人数が多すぎて、宇川くんなどは、最初に「こんばんは、横尾忠則です」(笑)と言っただけで2時間も無言を強いられていたけれど、午後7時から11時近くまで、さまざまな話で盛り上がった。「突発的」と佐藤さんが言うところのイベントの、アナーキーにしてクールな試みに乾杯! ちなみに宇川くんは後半2時間、前半のリベンジとばかりにしっかりとしゃべり続けた。

 

東京R不動産 | REALTOKYO 東京R不動産 | REALTOKYO

TDB-CEについては、田島則行さんと馬場正尊さんが「Tokyo, 4 Weeks」と「東京編集長日記」に書いているから、ここでは詳述しない。ひとつだけ思ったのは(そして時間がなくてトークイベントで話せなかったのは)、この種のイベントは1回だけのお祭り騒ぎで終わらせるのではなく、継続させることが重要だということだ。そのためには、前回の「Out of Tokyo」でも書いたとおり、アーティストの活動だけでは限界がある。やはり企業や大学の研究室など、「実業」の参加と支援が必要ではないだろうか。佐藤さん、馬場さん、デリーのSaraiを見習って下さい。

 

いずれにせよ前提となるのは、当該地域、つまり「セントラルイースト」の「身上調査」だと思う。つまりは地域の不動産情報。みんな、どういう物件があって、いくらで借りられるかに関心があるだろうが、情報入手は意外にむずかしい。現地の不動産屋に足を運ぶのはけっこう面倒だし、「優良物件」は表に出てこないことがままある。そもそも家主さんが「優良物件」だと認識していないことさえ考えられる。大きな声では言えないけれど、だからこそ好条件で借りられたりするわけだけどね。それにしても、現地に行かずして情報をゲットする方法はないものか……。

 

東京R不動産 | REALTOKYO
トークイベント会場の様子

そんなニーズにぴったりのウェブサイトを、馬場さんたちがつくりあげた。名付けて「東京R不動産」。「ちょっと風変わりで、クセがあって、でも愛すべき物件」を「改装OK」「一棟丸借り」「ワケあって安い」「倉庫っぽい」「とても古い」などの「ちょっと風変わり」な条件で検索できる。当然ながら都心の物件が多く、いわゆるコンバージョン対応のものが大半を占めているが、馬場さんや同志が足で歩いて探し当てたものがほとんどであるだけにユニークなものが多い。最終的にはリアルな不動産屋さんを通じて家主と交渉するわけだが、このバーチュアルな「東京R不動産」は、いわば「都心空洞化地域限定R物件専門」の不動産ハブサイトなのだ。地域はいずれ広がる可能性もあるけれどね。

 

東京R不動産 | REALTOKYO
東京R不動産のサイト

面白い、あるいは役に立つ物件が実際にあるのに、市場に十分な情報が伝えられていないがゆえに、空っぽのまま長い歳月が経過している。家主にとっても借り手にとっても不幸なそんな現状は、速やかに変えられなければならない。そして多くの人が「セントラルイースト」に移り住めば、東京の文化地図が大幅に書き換えられることになる。「東京R不動産」のバナーはRTのトップページにも掲載している。RTの編集室も、「東京R不動産」を通じて探してみようかしらん。

 

http://www.realtokyoestate.co.jp/

寄稿家プロフィール

おざき・てつや/『REALTOKYO』『Realkyoto』発行人兼編集長。1955年東京生まれ。京都造形芸術大学大学院学術研究センター客員研究員。趣味は料理。