COLUMN

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Out of Tokyo

026:酒が飲めない大学祭
小崎哲哉
Date: December 07, 2001
クレイジーケンバンド | REALTOKYO
クレイジーケンバンド © Jun Nakasuji

東大の駒場祭で、クレイジーケンバンドのライブを初めて観た(11/24)。イイネ、イイネ、イイネ! ファンキーだし、ロックだし、ブルージーだし、歌謡曲入ってるし、パワフルだし、コミカルだし、うまいし、真摯だし。裏では不手際がいっぱいあったみたいで、学園祭実行委員会から「早くやめろ」だの「まんじゅう売るな」だの言われてたらしいけど、そのあたりをフォローするケンさん、つまり横山剣の気づかいは実に行き届いていてプロフェッショナルで大人だった。ちなみに、2個500円ナリの「クレイジーケンバンドまんじゅう」、無料コンサートに対するカンパだと思えば安いし、とても美味しゅうございました。会場から離れた井の頭線駅西口改札口前で売るというゲリラ作戦が功を奏してか、なかなかの売れ行きだったようでご同慶の至り。

 

だけどさ、好天気とはいえこの季節にやる学園祭で、アルコール自粛ムードがキャンパス中に漂ってるのはどういうわけ? そこら中に「18:00~翌日6:00までは飲酒禁止」なんて書いてある無粋なポスターが貼られていて、中には昼間も飲んじゃいけないと勘違いしている学生もいるお粗末。クレイジーケンバンドのコンサートは16:30からだったから、もちろん僕は缶ビールをゲットして気持ちよくライブを楽しんだけれど、寒くなればなるほど体を温めなきゃ外にはいられないじゃないの。ま、駒場寮解体反対運動なんかやってる元気のいい連中や、地酒をずらりと並べている好き者らしい一群もいたから、せめて彼らくらいは学校当局の理不尽な「禁酒法」を無視していたと思いたい。祭に酒は付き物なんだから。まんじゅうだけではあまりに淋しい。

 

クレイジーケンバンド | REALTOKYO
クレイジーケンバンド © Jun Nakasuji

聞くところによれば昨年の学園祭の折に、悪のりしすぎたお馬鹿さんが、着ているものに火をつけて走り回り、大やけどを負ったのが原因のひとつだとか。そんなやつもそんなやつだけど、たかだかひとりの不届き者のために全学に「禁酒」を強いる学校当局も当局だし、それを甘んじて受け入れる学生も学生だと思う。学生時代の僕は大学祭自体があまり好きじゃなくて、他の大学のオールナイトコンサートにバンド出演したくらいだけど、寒さしのぎと景気づけに、もちろんお酒は飲みましたよ。それ以上のこともしたけど、昔の話だし、ま、ここには書かない。ともあれ、子供じゃないんだから、あんなポスターを人目に付くところに貼らないでほしい。見ていてとても恥ずかしかった。

 

新聞報道等によれば、同様の措置は早稲田、中央、桜美林、福岡など他大学でもとられたらしい。一橋では「15度以下の酒ならOK」だって(なんのこっちゃ)。学園祭なんて、せっかくのチャンスなんだから「マリファナ解禁」談義でも行えばいいくらいに思うけれど、これが2001年段階における日本の大学の程度・民度なんですね。ジミヘン・メドレーまで披露したクレイジーケンバンドがあまりにすばらしかったから良しとするけれど、バンカラは遠くなりにけり、だね。は~。

寄稿家プロフィール

おざき・てつや/『REALTOKYO』『Realkyoto』発行人兼編集長。1955年東京生まれ。京都造形芸術大学大学院学術研究センター客員研究員。趣味は料理。