COLUMN

interview
interview

Interview

087:想田和弘さん(『選挙2』監督・製作・撮影・編集)
取材:福嶋真砂代/取材・文:松丸亜希子
Date: June 28, 2013
想田和弘さん(『選挙2』監督・製作・撮影・編集) | REALTOKYO

2011年4月、あの「山さん」が川崎市議会選挙に帰ってきた。05年の秋に撮影された『選挙』では自民党公認候補として当選した彼が、今回は脱原発を掲げて完全無所属で出馬。選挙のあり方にも疑問を投げかけ、お金をかけない活動を展開した。3.11直後で多くの映像作家が被災地に向かう中、川崎で孤軍奮闘する彼の姿を再び追った想田和弘監督。撮った素材をしばらく放置していたそうだが、昨秋の衆議院議員選挙の結果にひらめくものがあり、編集作業を開始したという。まさにいま、参議院選挙の前に直視しておきたいものが本作には映し出されている。NYから帰郷した監督にお会いした。

『選挙』の続編とはいえ、いろんな意味でまったく異なる作品ですね。冒頭で山さんが「放射能で汚染されてるけど、政治も汚染されてるね」と言って、監督と車に乗り、2人のロードムービーが始まりますが、今回はお金をかけないということで、はがれかけたポスターを貼り直し、ほかの候補者に手を振るくらい。映画の前半はのんびりしていますね。

 

同じところをグルグル回るロードムービーです(笑)。さすがに今回、ここまで何も起こらないことを撮っても映画にならないんじゃないかと、少し躊躇しました。普通の作家だったら撮影をやめてると思います。でも、僕はずっと「観察映画の方法論」をエラそうに言い続けているので、とにかく観察するんだと、結果的に映画になったらなったでいいし、ならなくてもいい。目の前の世界を観察することが大事で、映画になる、ならないは考えなくていいじゃないかと開き直って撮りました。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

愛すべき主人公、山さん

山さんから、また出るから今回も撮ってねと言われたのではなく?

 

いえ、出馬することについては僕にはなんの相談もなくて(笑)。たぶん彼は出ようか出まいか迷っていたと思うんです。今思えば「出馬を考えている」的なことを、mixiとかでほのめかしていたのですが、僕はまさか出ないだろうと思って、香港国際映画祭に行っていました。そうしたら、たまたま見た彼のブログで立候補表明があって。すぐに「撮りたい」と思ったけど、旅先で機材を何も持ってなかったので、震災後の物がない東京で安いカメラを買って、周辺機材もかき集めて。あのときは撮影用のテープが不足していたんですよ。東北にある工場が被災して、テレビ局が買い占めたから。ネオンの消えた暗い街を走り回ってどうにか体勢を整えて、選挙戦3日目に撮り始めました。

 

今回のチラシの写真、とてもいいですね。そういえば山さんが選挙ポスターとして掲示していたのは、『選挙』のチラシの図版ですよね?

 

これには僕もびっくりでしたよ。何にも言わないで、勝手に使ってるんだもの(笑)。

 

山さんって面白い人ですね(笑)。彼はいま主夫なんですよね?

 

そうです。前回の『選挙』のとき、出馬するために切手コイン商をやめて、補欠選挙での当選だったから、1年半市議を務めました。山さんから聞いた話ですけど、自民党とあんまりうまくいかなくて、次の選挙では公認をもらえず、別の人が公認されたとか。ある意味はしごを外されてしまい、「次の選挙には出ない」という念書も書かされたらしくて。それで一旦政界からは退いて、主夫として子育てをしてきたんですね。

 

そうだったんですか。当の山さんご本人は『選挙』『選挙2』をどうご覧になっているのでしょう。

 

『選挙』のときは、なんとなく「ヒーローもの」みたいな映画を山さんは期待しているんだろうなと感じていたのですが、撮っている時点で「そうはならないだろうな」と僕は思っていました。なので、映画が完成したとなかなか言いづらかったんです。でも、ベルリン映画祭に出品が決まって、さすがに言わなくちゃいけなくなって、別件の連絡のついでのように「ベルリンに出るよ」と書き添えてメールを送ったら、すぐに山さんから電話がかかってきました。「ベルリンって、あのベルリン!?」って(笑)。それでわざわざ彼は奥さんと一緒にNYまで見に来たんですよ。最初はニヤニヤしながら見てたけど、だんだん険しい顔になり、終わったときにはちょっと怒り気味で「少なくとも3ヶ所カットしてほしい」と。2日がかりで説得して、山さんにも納得してもらい、結果的にはカットせずそのまま公開することができました。山さんはベルリンにも来てくれて、まるで映画スターのように、「一緒に写真を撮って」とか「サインして」と言われたりして、ノリノリでしたよ。それで味をしめたのか、フランスにもスイスにも、再びNYにも来てくれたし。今回の『選挙2』の方は、山さんはとても気に入っているようです。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

巻き込まれる自分自身も含めて観察

地震の翌月の選挙を映していたというのは、いまとなっては貴重ですね。あのとき多くの映像作家は被災地にいましたから。

 

あの頃は、会う人みんなに「想田さんは被災地に撮影に行かないの?」と言われました。その度に、「東北で大変なことが起きているのに、なんで俺は川崎で選挙を撮ってるのかな、山さんは何にも活動してないというのに……」と、少し焦りを感じたりもしましたけど、「まぁ、それは他の人が取材してるのでいいや」と。でも、後から撮った映像を見てみたら、「なんだ、川崎だって被災地だったんじゃないか」と思いましたね。原発震災の影が、あんなに映っているとはね。とはいっても、撮影が終わってから2年近くもの間、あのとき撮れたものをどう解釈していいのか、正直よくわからなくて。なんだかヘンなものが映ってるんだけど、それが何なのかわからない。パニックものの映画のセオリーなら、大事故が起きて放射能が降ってくるとなったら、みんなワーッと逃げるようなイメージの映画を作ると思うんです。だけど、僕が撮った風景はそれとは似ても似つかない。ほとんど何も変わらない日常がずっと続いていて、選挙風景もまったく変わらない。これは何なんだろうって、僕にはずっと意味がわからなかった。ところが、昨年12月の衆院選の結果を見ながら、急にピンと来るものがありました。見たものに対する視点のようなものが急に湧いてきたというか。撮影以来一度も撮った映像素材を観てなかったのですが、「僕があのとき観たものは、もしかしたらこういうことだったのかな」という予感が生まれて、編集に取りかかりました。

 

今回は、かなり監督自身の存在感が際立っていますね。

 

僕の観察映画の考え方にも変遷があって、『精神』を撮っているとき、僕は忍者のように存在感を消したかったので、あらかじめ「僕はここにいないということで」と患者さんたちに伝えてあった。でも、患者さんたちは「だって、想田さん、ここにいるじゃないですか」って、カメラを回している最中にみんなが話しかけてくる(笑)。「お約束」を乗り越えられてしまって困ったんですね。ところが、編集時に撮影素材を観てみると、カメラを回しながらみんなとやりとりした内容がすごく面白い。だから僕の存在が映り込むのを「アリ」としました。このとき、観察というコンセプトを「僕も含めた観察」というふうに変更したわけですね。だから『Peace』の撮影のときは初めから、僕が話したいことがあれば普通に話すし、リアクションしたければすると決めていました。『選挙2』にいたっては、たぶん山さんとふたりきりのときが多いだろうということが予測できたし、ずっと黙っているのも辛いので、もうしょうがないと開き直って。山さんもすでに『選挙』の経験があるから、それを撮った、撮られたということありきでしか関係を切り結べない。だから自分の存在を消す努力を放棄してましたね、最初から。

 

山さんの奥さんも、ほかの候補者たちも、『選挙』をご覧になっていれば、想田監督がどういう作品を撮る人か知っているわけだから、被写体との関係が明らかに前回とは違いますね。

 

そうなんです。街を歩いていても、初対面の市議の人に、「また山内さんを撮ってるんですよね?」なんて話しかけられて。僕が何をやっている人間か、川崎で立候補するような人たちはもう知っているんですよね。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

監督が有名になりすぎたんですね。もう忍者にはなれない(笑)。洗車のシーンで、暗い中でカメラを持っている監督自身の姿が映っていて、その覚悟が伝わりました。

 

忍者になれないというのは、自民党の浅野さん、持田さんとの衝突がまさにその最たるもので、『選挙』という映画があり、僕がそういう映画を撮る人間だという前提があって、それで初めて彼らとのあの場面が出てくる。「今回は想田を忍者にはしないぞ」ということですよね。だから自分でも知らない間にどんどん状況に巻き込まれて行っちゃう。それが今回の僕の存在だったし、それが映らないわけにはいかなかったんです。

 

運動員の女性が駆け寄ってきて「私たち、悪いことをしているわけじゃないので、がんばって活動しているので、ね、ね、撮らないで下さい」って。ああいう予期せぬハプニングこそが映画としては面白いところですね。候補者が「前回も勝手に映画を作って公開して。聞いてないよ」などと言ったりするシーンがあります。いずれも自民党の人たちですが、彼らは『選挙』をご覧になったのでしょうか。

 

どうでしょう。たぶんご覧になってると思うんですけど、ああいうふうに言われてしまって、僕はちょっとびっくりしました。だって、『選挙』を撮ったとき、それを映画にすることを伝えていないわけがないじゃないですか。その証拠に、実は『選挙』を撮り始めた2日目くらいに、自民党にテープを1本没収されたことがあったんです。「何を撮ってるんだ」とある議員からクレームがあり、選挙対策本部がちょっとナーバスになったようで、「さっき撮っていたものは使ってほしくないから渡してくれないか」と山さんを通じて言われました。僕は「どうしようかな……」と、ちょっと迷いつつも、「もしここで渡さなかったら、すべての撮影が中止になるかも。だったら渡して、もしかしたら撮影を続行できるかもしれない方に賭けよう」と、その場でテープを出して山さんに渡しました。すると、それ以降の撮影はものすごくスムーズになって。そういう経緯があったことからもわかるように、僕が映画にすることを前提に撮ってることは、もちろん選対本部は承知していました。浅野さんは「聞いてない」と言ってましたが、それはあり得ない。ただ、唯一考えられるのは、普通、映画って言ったら、でっかいライトがあって、大人数でやってきて……というイメージがあるので、僕みたいにひとりで小さなカメラで撮った映像が本当に映画になるとは信じていなかったという可能性はあります。山さんですら、僕が「これを映画にするんだ」と何度言っても、半信半疑だったそうですから。いずれにせよ、映画の公開前に自民党に見せなかったのは、見せること自体がよくないと思ったんです。彼らは政治的権力を持っているわけですし、見せてしまった時点で「検閲があったのでは」と疑惑が生じるじゃないですか。そうやって腹を探られるのも嫌だと思って。

 

パブリックな存在としての覚悟

浅野さん、持田さんを撮影しながら、監督も心中穏やかではなかったですよね。

 

そうですね、かなりショックでした。特に持田さんには敬意を抱いていましたし、ああいうことを言われると思っていなかったので、「え! そうなんですか?!」って、不意を突かれたというか。ご自分が公の存在であることをあんまり意識されていないのかなと思いました。僕はいわゆる公人でもないですが、映画を公開し公の場で発言する以上、ある意味パブリックな存在として覚悟しているところはあるんです。いろんな人からチェックを受けたり、写真を撮られたり、発言を引用されたり、批判されたりというのはある程度仕方がないことだと。当然、政治家をやっている人はもっとそうだろうし、候補者をある意味「丸裸」にして吟味すべき選挙運動の最中には特にそうだろうと思っていたので、ちょっとびっくりして、意識に相当差があるんだなぁと思いました。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

撮影は2年前ですが、「いま」が映し出されています。表現の自由といったものが、改憲により規制されそうな現状につながっていると思いました。もちろん今回も自民党にこの映画を見せていないでしょうし、クレーム覚悟で公開するということですよね?

 

そうです。自民党の川崎支連からは、浅野さんのシーンを撮ったその日に「あのシーンを使うな」と弁護士から手紙が届きました。でも、税金も使っている選挙運動を、「あなたは撮っていいけど、あなたはダメ」と、審判を受ける側の公人が言う権利はないと思うんです。特に現職の議員が言えるわけないと思うし、そんなことがオーケーだったら、国民の知る権利が制限されて、民主主義なんて成り立たない。折しも憲法第21条で保障された「表現の自由」が自民党改憲案によって危機に晒されているいま、僕は自主規制するわけにはいきませんでした。自主規制することは、自分から表現の自由を放棄するようなものですから。憲法第12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とありますけど、ここで屈しないことが、「不断の努力」なのだと解釈しています。

 

想田さんの著書『演劇vs.映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』の中で、平田オリザさんが『演劇1・2』に出ることについて「私たちは公的な資金も使って活動をしているので、できるだけ内容はオープンにする」とおっしゃっていましたが、その言葉と今回の自民党の見解の開きがすごいですね。

 

平田さんはパブリックな存在だとご自分で自覚して、責任も感じていらっしゃるし、そのスタンスに敬意を感じます。僕もある種そういう存在として活動しているので、平田さんの姿勢には学ぶべきことが多いなと思います。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

今回は山さんの息子の悠くんが登場するシーンがたくさんありましたね。

 

撮ってるとやっぱり悠くんに自然に目が行ってしまって。ノンポリだった山さんが急に脱原発に目覚めて立候補したのも、子育てをしているということがあったと思うんですよね。そういう意味でも悠くんは映画にとって非常に重要な存在です。

 

山さんのキャッチコピー、「子どもにツケをまわさない」の象徴でもありますね。3.11直後の選挙戦で「脱原発」を全面に訴える候補者は山さんしかいなかったそうで、防護服を着た彼が演説するシーンがとても映画的でした。撮影のときからこれがラストだと思われていましたか。

 

ラストについては、ああいう画を撮るつもりで最初から回していたわけではないです。僕は常に目の前の現実を観察しながら撮るわけですが、あのときは撮りながら、彼の演説をほとんど誰も聞いていないことにすぐに気がつきました。だから、「そのことを映像的にどう翻訳するか」ということを考えました。で、撮ったのがあのラストショットなわけです。ラストショットというのはある意味、僕がどう世界を見ているか、どう日本の社会を見ているかという、僕の立ち位置の表明でもあるので、自分の態度が決まらない限りラストは決まらないんです。あのショットで映画を終えるイメージが湧いたのは衆院選後。選挙の結果を見た時点で頭に浮かんで、それから編集を始めました。

 

『演劇1・2』の編集にはすごく時間がかかって苦しまれたそうですが、今回はいかがでしたか。

 

映画によって苦しみどころは違うのですが、今回は撮影してから編集を開始するまでの熟成期間というものがあって、その間に心の中で編集が進んでいたんでしょうね。だから、編集作業を始めて2、3週間くらいでしょうか、映画の骨格は意外と短期間にできました。ひらめいたら早いというか、自分がどういう態度で素材に向き合うかということがわかれば、もう編集はできたようなものなんですね。

 

想田和弘『選挙2』 | REALTOKYO
(C) 2013 Laboratory X,Inc.

インディペンデントの力で政治を動かす

候補者たちは公職選挙法に従わなければいけないとはいえ、選挙制度のゆがみも多く見えてきました。

 

『選挙』で提起された問題がかなり具体的に、「選挙制度がうまく機能しないというのはこういうことなのだ」というものが見えた気がします。震災は日本社会にとっての大ピンチですから、選挙では本当は「社会の今後」について切羽詰まって議論をしなければいけないわけですけど、議論が起こらないように選挙制度が作られている。議論が起こらない方が当選しやすい人たちが、今の選挙制度を作ってきたから。

 

そうなんですよね。この先の政治が、日本がいったいどうなるんだろうという恐ろしさも見えましたが、監督はNYで暮しているから、なおさら日本を俯瞰で客観的に見ることができると思います。日本を撮るモチベーションは愛国心でしょうか。

 

愛国心というよりも、愛郷心でしょうか。自分を育んでくれたこの大地や空、文化や人々に対する「借り」があるというか。その借りを自分なりに返したいという思いはあります。でも、僕自身が政治家になるという気持ちはないですね。映画を作ったり、発言したりはしていきますが、僕は政治家には向いてないから。今回の山さんみたいな選挙運動のやり方には、可能性も感じています。大きな政党から独立し、お金をかけない選挙をして当選する方法は、たぶんある。映画だって、元々は大きな映画撮影所に入ってその中のしきたりでやるしかなかったわけですけど、いまはインディペンデントの映画作家もたくさんいて、僕もそのひとり。インディペンデントが力を発揮することは、政治の世界でもあり得ないことではないと思うんです。「選挙とはこういうふうにやるもんだよ」という方程式があって、みんな「それに乗らないと勝てない」と思い込んでいるんだけど、決してそうじゃないんじゃないか。官邸前のデモなんかは下火になってしまいましたけど、いまでもたぶん国民の7割くらいは原発はやめたほうがいいと思っている。でも、その思いを具体的に政治的な力に変換するチャンネルがないと思うんです。確固たる受け皿がないから誰に投票していいかわかりにくいし、投票しても死票にしかならないのではという諦めがある。そこに、インディペンデントな候補者としての戦略を持ち、訴える力もある人が多数出て来れば、時間はかかっても状況は変わっていくんじゃないかなと思います。

 

山さんがまた出馬してくれたらいいですね。『選挙3』を期待したいですし、何度でもシリーズ化してほしいです。監督がこれから撮りたいものは?

 

いっぱいあります。やりたいことのリストはいつも20くらいあって、その中でご縁があったものからどんどんやっていくというやり方でやっています。舞台は主に日本ですが、アメリカでやろうとしている題材もあります。

 

『選挙2』でやりあった人たちが映画をご覧になってくれたらいいですね。その後の反応も楽しみです。何かあったら、ぜひブログに書いて下さい。

 

もし訴えられたら大々的に記者会見しますので、ぜひ取材に来て下さい(笑)。

 

(※このインタビューは2013年5月7日に行われました。)

 

想田和弘さん(『選挙2』監督・製作・撮影・編集) | REALTOKYO

プロフィール

そうだ・かずひろ/1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアルアーツ卒。93年からニューヨーク在住。NHKなどのドキュメンタリー番組を40本以上手がけた後、台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。その第1弾『選挙』(07年)は世界200ヶ国近くでTV放映され、米国でピーボディ賞を受賞。ベルリン国際映画祭へ正式招待されたほか、ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞した。第2弾『精神』(08年)は釜山国際映画祭とドバイ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、マイアミ国際映画祭で審査員特別賞、香港国際映画祭で優秀ドキュメンタリー賞、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で宗教を超えた審査員賞を獲得するなど、受賞多数。2010年9月には、『Peace』(観察映画番外編)を発表。韓国・非武装地帯ドキュメンタリー映画祭のオープニング作品に選ばれ、東京フィルメックスでは観客賞を受賞。香港国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を、ニヨン国際映画祭では、ブイエン&シャゴール賞を受賞した。劇作家・平田オリザ氏と青年団を映した『演劇1』『演劇2』(2012年)は、ナント三大陸映画祭で「若い審査員賞」受賞。著書に『精神病とモザイク』(中央法規出版)、『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)、『演劇 vs. 映画―ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』(岩波書店)。共著に『原発、いのち、日本人』(集英社新書)等。

インフォメーション

選挙2

7/6(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー

配給:東風

公式サイト:http://senkyo2.com/

寄稿家プロフィール

ふくしま・まさよ/航空会社勤務の後、『ほぼ日刊イトイ新聞』の『ご近所のOLさんは、先端に腰掛けていた。』コラムを執筆(1998-2008)。桑沢デザイン塾「映画のミクロ、マクロ、ミライ」コーディネーター。産業技術総合研究所のウェブサイトに、IT科学者インタビューシリーズ『よこがお』を連載中。

寄稿家プロフィール

まつまる・あきこ/1996年から2005年までP3 art and environmentに在籍した後、出版社勤務を経てフリーの編集者に。P3在職中にREALTOKYO創設に携わり、副編集長を務める。2014年夏から長岡市在住。