見えないほどの遠くの空を
大学の映研による映画撮影が終了目前、ヒロイン役の同級生の急死により、やむなく中断。主人公たちは宙吊りにされた気持ちを抱えたまま、それぞれの人生を歩み始めるが……という導入は、いかにも先行き不透明な近年の日本で繰り返されてきたある種の青春物語に見られそうなものだ。が、本作はそんな見立ての裏をかくように、微温的な共感を求めることなく、直截的な台詞の応酬とともにジリジリと劇的に、現代の若者たちのドラマを展開している。劇場支配人、プロデューサー、脚本家などの経歴をもつ榎本監督による、現在の低予算自主映画の可能性についてもあらためて考させる注目のデビュー作だ。


★トークイベントも決定!
20:30の回の本編上映後(22:10~)、榎本憲男監督をホストに、ゲストを招いてのトークイベントが開催されます。
6/13(月)
『学生映画の現状と次の一手』
ゲスト:森岡龍、岡本奈月、渡辺大知、前野朋哉(以上『見え空』映研部員)
6/14(火)
『現在の若者にとっての物語のリアル』
ゲスト:韓東賢/ハン・トンヒョン(日本映画大学 社会学)
6/15(水)
『宗教学から観た『見え空』』
ゲスト:近藤光博(宗教学)
6/16(木)
『強面の映画ファンから自主映画を語る』
ゲスト:松崎まこと(放送作家 映画検定1級保持者)
6/17(金)
『映画音楽の難しさと楽しさ』
ゲスト:安田芙充央(作曲家、ピアニスト)
★初日舞台挨拶決定!
日程:6/11(土)10:10の回、本編上映前
会場:ヒューマントラストシネマ渋谷/スクリーン1
登壇者(予定):森岡龍、岡本奈月、前野朋哉、榎本憲男監督
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ここには未来がない。
「ここはクソだ、ここは腐ってる、こんなところはぶっ壊してさっさとどこかに行っちまおうって、そう思ってた」という台詞から始まるシーンを学生映画の撮影隊が撮っている。このシーンが映画のラストシーンであり、ラストショットだった。しかし、撮影は雨で中断する。そして、ヒロインの突然の死によって、映画は完成されないまま、仲間たちは卒業する。死んだヒロインの莉沙《りさ》と監督の高橋賢との間でこのラストシーンについて、厳しいやりとりがあった。賢は自分の思いを遂げるために、街で見つけたそっくりな女を代役に、映画を完成させようとする。あくまでも未来を夢見るのか、絶望を安らぎだと思いさだめて生きるのか、重いテーマを扱いながら、映画は二転三転し、意外な結末を迎える。
榎本憲男は、劇場支配人、番組編成、プロデューサー、脚本家というキャリアの変遷の中で、昨年映画会社を退職。本作品でついに監督デビューを果たした。「インディペンデントらしく、自分たちがいま生きている現実に向かい合って映画をつくりたい、しかも、映画として面白いものを作りたいと思った」と語る監督の意図は見事に達成されている。
主人公には、演技力もさることながら「自分の手で物作りをしている人間独特のオーラがある」という理由で監督がリクエストした、森岡龍。森岡自身、大学の映画学科に在籍、数本の作品を監督し、ぴあフィルムフェスティバルで二度にわたり入選している。役者としても、『茶の味』でのデビュー後、『グミ・チョコレート・パイン』『ハッピーフライト』『色即ぜねれいしょん』など話題作・人気作に出演し、2011年には『あぜ道のダンディ』『紙風船』『ツチノコに合掌』と、出演作品が目白押しである。その他、高い演技力を要求されるヒロインには『ヒーローショー』に出演の岡本奈月、その恋人役には、ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカリストとしても注目を集め、2010年に『色即ぜねれいしょん』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した渡辺大知。部員達には『茶の味』『さまよう刃』に出演した佐藤貴広。自らも映画研究会に在籍した過去を持ち、監督として自主映画制作を続け、『冷たい熱帯魚』『学校をつくろう』に出演の橋本一郎、他に映画研究会出身で、ゆうばり国際映画祭2010で準グランプリ受賞の前野朋哉、中村無何有らが脇を固めている。
<STORY>
大きな公園の中、一本の樹の下に若い男女が座っている。その前には映画の撮影隊がいる。高橋賢(森岡龍)は、映研の仲間たちと一緒に、学生生活最後の作品『ここにいるだけ』の最後のショットを撮影している。しかし、カットの声がかかる直前、ヒロイン役の杉崎莉沙(岡本奈月)はシナリオには書かれていない勝手な台詞をひと言口走る。その時、雨が激しく降ってきて、撮影は中沙と賢の間には意見の対立があった。光浦(渡辺大知)に説得されて書いた手紙も断する。
撮影を再開する前日、不慮の事故によって、とつぜん莉沙は死ぬ。もともと、この映画の結末をめぐって、莉読まないままに莉沙は死んでしまった。最後のワンショットを撮り残したまま映画『ここにいるだけ』は完成しなかった。
そして、一年が過ぎた。ある日街で、賢は、死んでしまった莉沙にそっくりな女を見かける。おもわず後を追う賢。女との会話を重ねるうちに、やがて賢は、この女を代役に最後のショットを撮って映画を完成させようというアイディアを思いつく。そして仲間の反対を押し切って撮影を再開しようとするのだが、事態は思わぬ方向に発展していく……。
出演:森岡龍、岡本奈月、渡辺大和、橋本一郎、
佐藤貴広、 前野朋哉、中村無何有、桝木亜子
脚本・監督:榎本憲男
企画:狩野善則、榎本憲男
製作:岩井博紀、関浩太郎、高森厚太郎、下田淳行、田中久美、木村立哉
プロデューサー:狩野善則、内藤諭、四宮隆史、崎本志穂
撮影監督:古屋幸一
照明:福長弘章
録音:那須信也
整音:臼井勝
編集:石川真吾
衣装:高橋靖子、坪井文美、木下しづ子
ヘアメイク:渡邉茜
音楽:安田芙充央
制作プロダクション:ドゥールー、クジラノイズ
配給:ドゥールー、コミュニティアド
製作:「見えないほどの遠くの空を」製作委員会
■ 2011年/日本/カラー/99分/ステレオ/HD
6/11(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー予定
(公式サイトより)
*詳細は公式サイトをチェック!
ヒューマントラストシネマ渋谷日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル7・8階 [ 地図を表示 ] |
アクセス | キャットストリートの入り口に近く、明治通りと青山方向への道が交差する渋谷一丁目の宮下公園交差点(旧アミューズCQN) |
電話番号 | 03-5468-5551 |
会場ホームページ | http://www.ttcg.jp/human_shibuya/ |
日程 | 2011年6月11日~2011年7月1日 |
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