Event Card

四つのいのち

RT Picks

南イタリアの山奥。ヤギを放牧する老いた牧夫が静かに息を引き取る。仔ヤギが産声を上げ、大きな樅の木の根元で眠りにつく。春になり、村人が樅の木を切り倒す。広場に立てられた木は、祭りの後木炭になる……。ドキュメンタリーに見えるがそうではない。人間、動物、植物、炭という4つの命をモチーフに、生命が循環し、リンクしていることを描いた映像詩。じっくりと映し出していく長回しの映像は一幅の絵画のようで、自然の音を紡いだサウンドも美しい。人間だけがエラいわけじゃない。身の丈に合った生活、目で見て合点がいく範囲の暮らしへのゆるやかな回帰を想った。

By まる April 27, 2011

イベント概要
(C) Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

南イタリア、カラブリア州の山深い地方。老いた牧夫が山羊の世話をし、教会を訪れ、毎晩、薬代わりに教会の床の埃を水に溶いて飲み、眠りに就く…。長い間、変わることなくそんな暮らしをしていた牧夫も、やがて死んでいく。
 仔山羊が誕生する。仔山羊は最初の一歩を踏み出すが、群れに遅れ、森で溝にはまってしまう。上ることができず、助けを求めて鳴くが、牧羊犬にも誰にも、その声は届かない。群れは仔山羊を残して行く、その運命のままに。ようやく溝から抜け出た仔山羊は、あてもなくさまよい、夜になり、大きなモミの木のもとで眠りにつく。
 春、数百年も続く例年のピタの祭りの為に、村人がその大きなモミの木を切り倒しにやってくる。枝を切り払い、がっしりした幹を村へと運び出す。村の広場にこの木を立てるのだ。祭りが終わると、モミの木は炭焼きに売られて行く。
 小さく刻まれ、組み上げられたモミの木の小山。それ自体が炉の役割を担う、その小山は藁と粘土に覆われて、点火され、煙を吐き出す。世代から世代へと古くから伝えられる技術によって、生きている植物である木は、不活性の鉱物=人々の暮らしを支える木炭に生まれ変わる。
 こうして人間、動物、植物、炭、4 つの命がサークルを描き続ける。

[ 映画 ドラマ 渋谷 ]
シアター・イメージフォーラム
日程終了
エリア 渋谷
住所 東京都渋谷区渋谷2-10-2 
アクセス 「渋谷駅」東口から宮益坂を上り、青山通りへ。50m程先の横断歩道を渡り、薬局とコーヒー店の間を入りすぐ。
電話番号 03-5766-0114
会場ホームページ http://www.imageforum.co.jp/theatre/
日程 2011年4月30日~2011年6月17日

RT寄稿家コメント(0)

コメントを書く ※RT寄稿家のみコメントできます。

email password

次回から自動的にログインする

読者コメント(0)

コメントを書く 
※コメントを書くには、MyPageユーザー登録が必要です。また、ニックネーム未登録のMyPageユーザーはマイページ設定からご登録下さい。

email password

次回から自動的にログインする