ブンミおじさんの森
タイのアーティスト、アピチャッポン・ウィーラセタクンの監督映画。病を患い死期の近いブンミおじさんのもとに、妻の幽霊が現れる。行方不明になった息子が猿の精霊になって姿を見せる。2010年のカンヌ国際映画祭で審査委員長を務めたティム・バートンは、西洋的になっていく世界の状況と比べて「この映画には、私の見たこともないファンタジーがあった」と賞賛した。日本人が見ると「そんなこともあるかもしれない」ともう少しリアリティをもって感じる人が多いのではないだろうか。表現の自由を奪うタイの政治に抵抗を示すと同時に、人々への寛容さが描かれている。


★2010年カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞
タイ東北部のある村。腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミおじさんは、ジェンとトンを呼び寄せる。ジェンは、ブンミの死んだ妻の妹だ。
夜。ブンミとジェン、トンが夕食を囲んでいると、そこにふっと、女性の姿が現れる。19年前に死んだブンミの妻、フエイだ。フエイはブンミの病気が心配でやってきたのだ。フエイの姿は42歳の時のまま。ブンミたちは最初こそ驚くものの、懐かしさから皆で語らいはじめる。
しばらくすると物音がして階段を何か黒いものが上がってきた。数年前に行方がわからなくなった息子ブンソンが、姿を変えて戻ってきたのだ。
愛するものたちがブンミのもとに集まってきた。いよいよ行く時が近づいてきたのだ。ブンミは前世を思い出す。
ある日、ついにブンミはフエイ、ジェン、トンとともに森に入っていく。奥へ奥へと森をすすみ、やがて4人は洞窟の中へ。
真っ暗な洞窟の中。岩がまるで宇宙の星のように輝くのを見ているうちに、ブンミはここで生まれたことを思い出し、自分の前世に思いを馳せながら、つぶやくように話しはじめた……。
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僕たちはいつも映画にサプライズを求めている。
この映画は多くの人々に、まさにそのサプライズをもたらした。
─ティム・バートン(2010年カンヌ国際映画祭審査委員長)
いくつもの時を生き 穏やかに 目を閉じる。いつかどこかで また会える。
美しく斬新なイマジネーション、思わず笑みがこぼれるようなユーモア。
何より生と死に対する優しく深い洞察が、世界に驚きを与えた傑作!
第63回カンヌ国際映画祭の最高賞(パルムドール)を競うコンペティション部門には、マイク・リー、ケン・ローチ、北野武、アッバス・キアロスタミといった世界の巨匠たちの名が並んだ。審査委員長は『アリス・イン・ワンダーランド』の大ヒットも記憶に新しい鬼才ティム・バートン。果たして、いつもユニークなヴィジョンで映画世界を広げてきたティム・バートンは何を選ぶのだろう。
そしてパルムドールの栄誉に輝いたのは、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『ブンミおじさんの森』だった。ティム・バートンは受賞の理由をこう語る。「世界はより小さく、より西洋的に、ハリウッド的になっている。でもこの映画には、私が見たこともないファンタジーがあった。それは美しく、まるで不思議な夢を見ているようだった。僕たちはいつも映画にサプライズを求めている。この映画は、まさにそのサプライズをもたらした」。
ブンミおじさんと一緒に森を歩こう。心が不思議に優しく懐かしい感情で満たされるから。
腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミは、妻の妹ジェンをタイ東北部の自分の農園に呼び寄せる。そこに19年前に亡くなった妻が現れ、数年前に行方不明になった息子も姿を変えて現れる。やがてブンミは愛するものたちとともに森に入っていく・・・。
ブンミおじさんと一緒に森を歩き、洞窟の中に入っていく私たちの耳に聞こえてくる静かな声。心は不思議に懐かしい感情で満たされていく。私たちのからだの中にある東洋の遺伝子が、ブンミを通して魂が繰り返し生きて行くことを思い出させてくれるのかもしれない。森には、近代が失ってしまった闇があり、見えざるものがあり、穏やかな死がある。だからこそ『ブンミおじさんの森』では光は美しく、世界は驚きに満ち、生は目映い。これは、かつてそうであったものを未来に伝える幸福な映画なのである。
製作+脚本+監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
製作:サイモン・フィールド/キース・グリフィス/シャルル・ド・モー/アピチャッポン・ウィーラセタクン
出演:タナパット・サーイセイマー/ジェンチラー・ポンパス/サックダー・ケァウブアディー
ナッタカーン・アパイウォン
2010年/イギリス、タイ、ドイツ、フランス、スペイン合作映画/114分/35ミリ/1:1.85/カラー/Dolby SRD
字幕:齋藤敦子
協力:SCAI THE BATHHOUSE/トモ・スズキ・ジャパン
提供:シネマライズ
配給:ムヴィオラ
(シネマライズのサイトより)
シネマライズ日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区宇田川町13-17 [ 地図を表示 ] |
アクセス | 「渋谷駅」ハチ公口から「Q FRONT」と「109-2」の間の道を進み、「マルイシティ」手前の公園通りへ。「PARCO」と「GAP」の間の道を左折し、50mほど先左手。 |
電話番号 | 03-3464-0051 |
会場ホームページ | http://www.cinemarise.com/ |
日程 | 2011年3月5日~2011年4月28日 |
読者コメント(0)
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RT寄稿家コメント(2)
渡辺ゆうか March 4, 2011
この映画のファンタジー、ぜひ体験してみたいです。
福嶋真砂代 March 4, 2011
『ブンミおじさんの森』は見る度に違うものが見える。もしかしたらいろんなものが写ってるのかもしれない。思わず目をこすってしまう。いま見えたのはなんだったの…? なんて。
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