高嶺格:とおくてよくみえない
インスタレーションや映像、演劇や書籍など、多様な表現形態で知られる高嶺格。その創作の多面性を貫く問題意識はなにか。アメリカを象徴するかのような巨大粘土と、その周辺で格闘する人々の営みを対照的に描く《God Bless America》や、自身の個人的な体験を通じて在日朝鮮人の問題を問いなおす《ベイビー・インサドン》など、代表作が並ぶ本展。現代社会の問題を起点にしつつ、人と人、人と世界との関係といった普遍的な問いへと深く降りてゆく作品群に要注目。


2002年 映像作品(8’18”)
※本展出品
本展は、現代美術家・演出家の高嶺格(たかみね・ただす)の首都圏初の大規模な個展です。2000年代初頭の作品から、横浜で滞在制作される新作までを紹介します。
サブタイトルの「とおくてよくみえない」とは、混雑した展覧会で観客がしばしば発するフレーズの一つです。本来、自由な表現によって成り立つ美術作品が、美術館や展覧会という様々な制約の中で展示されることで生じる矛盾。最新作において高嶺が制作の出発点に据えたのは、そうした齟齬に対する素朴な疑問と興味です。ここから出発した高嶺が、その先に見つけるものは何なのか。それはきっと思いもよらない作品として、私たちの前に現れてくることでしょう。
高嶺は、平面、立体、映像作品をはじめ、音や映像、PC制御による仕掛けなどを駆使したメディア横断的なインスタレーション、パフォーマンス、舞台の演出など、多彩な表現形態により、常にインパクトを与える作品を発表しています。2003年のヴェネツィア・ビエンナーレをはじめ、2006年の釜山ビエンナーレなど国際展への出品も数多く、国内外で高い評価を得ています。2005年の横浜トリエンナーレ(第2回)では、劇場のように巨大な空間で、自身の故郷である鹿児島の方言と、世界語として生み出されたエスペラントの言葉を、映像と土に型押しした文字で映し出していく映像インスタレーション《鹿児島エスペラント》を発表。光と音、オブジェと映像が一体となって展開したこの作品は、高い注目を集めました。
高嶺が制作の糸口とするのは、現代社会における不条理性です。アメリカ中心に進むグローバリズムへの批判を、巨大な粘土の塊と格闘する人間の振舞いにより象徴的に表現した《God Bless America》、自身の恋人との関係性から、在日外国人をめぐる差別的な感情の問題に触れた《在日の恋人》(2004年)、プレハブ工法の普及により失われていく伝統的な住居建築についての意識を呼び起こす《Good House, Nice Body》(2010年)など、高嶺は人間の行為に潜む矛盾や非合理な側面に目を向け、批評的に、そしてユーモアあふれる作品として提示します。
横浜美術館日程終了
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エリア | 横浜市 |
住所 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
アクセス | 「みなとみらい駅」より徒歩5分 |
電話番号 | 045-221-0300 |
会場ホームページ | http://www.yaf.or.jp/yma/ |
日程 | 2011年1月21日~2011年3月20日 |
時間 | 開館時間:10:00~18:00(金曜は20:00まで開館入館は閉館の30分前まで) |
料金 | 一般 1,100円 大学・高校生 700円 中学生 400円 ※小学生以下無料 |
休館日 | 木曜日 |
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RT寄稿家コメント(1)
小崎哲哉 February 19, 2011
驚く。笑える。そして考えさせられる。
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