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小谷元彦展:幽体の知覚

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キリスト磔刑図を思わせる少女像「ファントム・リム」(1997)から、作家自身の血液を用いたという最新映像作品まで、いま最も注目される彫刻家の代表作をほぼ網羅した回顧展。痛覚、尖端、表皮・骨・肉、時間、瞬間、生と死、境界(面)、外殻と内面など、作家の関心を反映した作品が主題別に、かつダイナミックに提示されている。ヴェネツィアに出展した「ロンパーズ」など映像作品も充実。中でも、大音響とともに鑑賞者が滝の映像に包まれる「インフェルノ」は、体験型アートとして出色の出来だ。「彫刻」の概念はどこまで広がるのか?

By 小崎哲哉 November 29, 2010

イベント概要
「Inferno」(2008-10)

小谷元彦は、東京藝術大学で彫刻を学んだ後、多様な手法と素材を用いて、従来の彫刻の常識を覆す作品を発表してきました。その造形表現と美意識は高い評価を受け、2003 年にヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表の一人として選ばれるなど、国内外でめざましい活躍を見せています。

小谷はしばしば、痛みや恐怖などの身体感覚や精神状態をテーマに、見る者の潜在意識を刺激するような作品を制作します。毛髪を編んだドレスや拘束具を着けた動物、異形の少女、屍のような武者の騎馬像など、一つの解釈に帰着しえない多層的なイメージは、美と醜、生と死、聖と俗の境界線上で妖しい魅力を放ちます。

彫刻というメディアのもつ性格に対して鋭敏な意識をもつ小谷は、彫刻特有の量感や物質性に抗う(あるいは逆手にとる)かのように、実体のない存在や形にできない現象、すなわち「幽体」(ファントム)をとらえ、その視覚化を試みてきたといえます。本展では、小谷の作品の本質を探るべく、10年以上にわたって発表されてきた小谷の初期作品から最新作までを一堂に集めるほか、「映像彫刻」とも呼ぶべき体験型の大型映像インスタレーションや、重力や回転などの生命のしくみに関わる現象をテーマにした新作を紹介します。従来の彫刻の概念を超えて、存在のあり方をあらゆる方向から捉えて形にしようとする小谷の作品を通して、美術表現の新たな魅力と可能性に迫ります。

なお、本展は静岡県立美術館、高松市美術館、熊本市現代美術館に巡回します。

小谷元彦
[プロフィール]
1972年、京都府生まれ。1997年、東京藝術大学大学院美術研究科修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(2003年)をはじめ、リヨン現代美術ビエンナーレ(2000年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2001年)、光州ビエンナーレ(2002年)など数多くの国際展に出品。
主な個展に、「ファントム・リム」(Pハウス、1997年)、「モディフィケーション」(キリンプラザ大阪、2004 年)、「小谷元彦/Hollow」(メゾンエルメス、2009 - 2010年)、主なグループ展には、「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1999 年)、「現代美術の皮膚」(国立国際美術館、2007年)、「ネオテニー・ジャパン」(鹿児島県霧島アートの森/札幌芸術の森美術館/上野の森美術館、2007-2008年)などがある。

(公式サイトより)

[ アート 現代美術 六本木・麻布 ]
森美術館
日程終了
エリア 六本木・麻布
住所 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー 52-53F [ 地図を表示
アクセス 営団地下鉄日比谷線「六本木駅」よりコンコースにて直結。

都営地下鉄大江戸線「六本木駅」徒歩4分。

都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」徒歩4分。
電話番号 03-5777-8600
会場ホームページ http://www.mori.art.museum/
日程 2010年11月27日~2011年2月27日
時間 月・水〜日曜日10:00〜22:00 火曜日 10:00〜17:00
料金 一般¥1,500、学生(高校・大学生)¥1,000、子供(4歳-中学生)¥500

RT寄稿家コメント(5)

渡辺ゆうか February 14, 2011

「インフェルノ」は、すごかったです。

橋本誠 February 10, 2011

そろそろ観に行かないとです

小崎哲哉 February 8, 2011

Twitterだと途中で切れちゃいますね。ごめんなさい。次回からは短めに書きます。

小崎哲哉 February 8, 2011

You'd better read the talk bet. Odani and Nawa Kohei in the J version of RT before going this show.

小崎哲哉 February 4, 2011

小谷さんと名和さんの対談を読んでから観に行くと、いっそう楽しめますよ。http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/interview/bn/interview_

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