シルビアのいる街で
かつて恋したシルビアの面影を求めて男が街を彷徨う。ストーリーはそれだけなのに、経験したことがないユニークな作品。カフェでおしゃべりに興じる女たちをひたすらスケッチしたり、ストラスブールの街をぐるぐる追いかけっこしたり、男も執拗だがカメラもしつこい。市電や車が行き交う騒音、人々の話し声、石畳に響く足音など、あたかもその場に立っているかのような臨場感あふれる音声も驚異的。ビジュアルもサウンドも緻密に計算されたもので、セリフが少なく字幕も少ないから、自ずとテキスト以外の情報に集中できる。監督・脚本のホセ・ルイス・ゲリン、その名を記憶しなくては。


映画芸術の最前線を切り開くスペインの鬼才 初登場!
『ミツバチのささやき』(1973)や『エル・スール』(1983)で我が国にも多くの信奉者がいるビクトル・エリセ監督が、“今のスペインでもっとも優れた映画作家”と断言し、東京国際映画祭で旋風を巻きおこしたスペインの鬼才ホセ・ルイス・ゲリン監督作『シルビアのいる街で』が遂にスクリーンにお目見えします。劇場公開が本邦初となるゲリン監督は1960年スペインのバルセロナ生まれ。小津安二郎とF・W・ムルナウを敬愛する彼は、1990年にジョン・フォード監督の『静かなる男』(1952)へオマージュを捧げたドキュメンタリー『イニスフリー』で一躍世界の注目を浴び、以来現実と虚構の境界線上で野心的な映画製作を続ける孤高の映像作家です。
かつてない斬新な手法で描かれた魅惑の恋物語
監督自身の実体験を基に、19世紀フランスのロマン派詩人ジェラール・ド・ネルヴァルの「シルヴィー」からヒントを得て製作された本作は、6年前に愛し合った女性シルビアの面影を求めて想い出の地をさまよう画家志望の青年のオブゼッションに満ちた恋物語。フランスの古都ストラスブールを舞台に、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(1958)を彷彿とさせるサスペンスに満ちた美女の追跡劇が緻密な音響設計と光溢れる美しい画面の連鎖で展開され、見るものをどことも知れぬ異空間へと誘ってくれます。
監督・脚本 ホセ・ルイス・ゲリン 出演:グザヴィエ・ラフィット、ピラール・ロペス・アジャラほか
2007年/スペイン・フランス/カラー/85分/35mm
*日本語/英語併記字幕で上映
シアター・イメージフォーラム日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-10-2 |
アクセス | 「渋谷駅」東口から宮益坂を上り、青山通りへ。50m程先の横断歩道を渡り、薬局とコーヒー店の間を入りすぐ。 |
電話番号 | 03-5766-0114 |
会場ホームページ | http://www.imageforum.co.jp/theatre/ |
日程 | 2010年8月7日~終了日未定 |
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