日本を代表するビッグバンド「原信夫とシャープス＆フラッツ」の58年の歴史は、そのまま戦後の日本のポピュラー音楽の歴史そのものです。
1951年9月、10人編成で「シャープス＆フラッツ」をスタートさせた原信夫は、短期間で現在と同じ17人編成のビッグバンド・スタイルを取り入れ、アメリカのスイング・ジャズからモダン・ジャズへの推移をその敏感な感覚で捉え、ダンス・バンドからコンサート・バンドへと脱却を図り、「デューク・エリントン」「カウント・ベイシー」「スタン・ケイトン」「ウディ・ハーマン」等の本場のトップクラスを射程におさめた積極的な音楽活動を繰り広げて参りました。
1958年には初リサイタルを成功させ、「NHK交響楽団」「日本フィルハーモニー交響楽団」との共演等、音楽性の高さは初期から高く評価され、熱狂的なファンを獲得するだけではなく全国規模で幅広い音楽ファンに受け入れられました。
そして国民的スターであった「美空ひばり」との出会い、原自身の作曲による「真っ赤な太陽」の大ヒットは周知の通りです。そうした多岐にわたる活動の中でも、ビッグバンド・ジャズの本質は片時も失われず、1967年には、「アメリカ・ニューポート・ジャズ・フェスティバル」に出演、大成功を納め、その後もアメリカ、ソビエト、ヨーロッパ、アジア各国から招待され、多くの海外公演を成功させました。
さらに「クインシー・ジョーンズ」「サミー・デイヴィス Jr.」「ダイアナ・ロス」「イブ・モンタン」「パット・ブーン」「ペリー・モコ」をはじめとする国際級スター達との共演も実に多く、「世界のシャープス&フラッツ」としてその実力を強烈にアピールして参りました。
そしてその輝く58年の足跡をジャズ界に刻んだ「ファイナル・コンサート2008-09」を敢行します。


原信夫　～ファイナルツアーに寄せて～

生涯をかけてきたジャズという音楽を新たな世代に託そうと思う。
この素晴らしい音楽のこれからを担う数々のアーティストたちをバンドに招いて、そのバトンを託そうと思う。
私はジャズを愛している。
ジャズという音楽に出会えたことに感謝をしている。ジャズを信じているし、崇めている。
私にとっては神様のようなものだ。
ここまで続けることができたのは、そんな想いがあったからだと思う。
ジャズは人生そのものだ。
この音楽のなかにはいろいろな感情が激しく渦巻いている。
その息吹とでもいおうか、エスプリとでもいおうか、そのジャズの枠を、ダイナミックなビックバンドを通して、からだをはってステージで伝えてきた。
そのダイナミックさこそがビックバンドジャズの命だと思っている。
だからこそ、結成以来いちばん良い音をしている「今」このときに、このビックバンドという形式から離れようと思う。
ジャズという音楽への愛があるからこそ。私はいつもジャズとともにある。


原　 信夫　(ハラ ノブオ)・・・・・・・・leader,tenor sax
佐藤 達哉　(サトウ タツヤ)・・・・・・・tenor sax
猪目 慎一　(イノメ シンイチ)・・・・・・alto sax
大山 日出男　(オオヤマ ヒデオ)・・・・・alto sax
森川 信幸　(モリカワ ノブユキ)・・・・・baritone sax

片岡 雄三　(タカオカ ユウゾウ)・・・・・trombone
佐藤 俊次　(サトウ シュンジ)・・・・・・trombone
橋本 佳明　(ハシモト ヨシアキ)・・・・・trombone
堂本 雅樹　(ドウモト マサキ)　・・・・・bass-trombone

数原　 晋　(カズハラ シン)・・・・・・・trumpet
マイク・プラス ・・・・・・・・・・・・trumpet
佐久間 勲　(サクマ イサオ)・・・・・・・trumpet
菊池 成浩　(キクチ ナルヒロ)・・・・・・trumpet

岩見 淳三　(イワミ ジュンゾウ)・・・・・Guitar
西　 直樹　(ニシ ナオキ)・・・・・・・・Piano
佐瀬　 正　(サセ タダシ)・・・・・・・・Bass
稲垣 貴庸　(イナガキ ヨシノブ)・・・・・Drums


※TV放送あり
原信夫とシャープス＆フラッツ　グランドファイナルコンサート
チャンネル ：NHK BS2
放送日 ：2009年12月27日（日）
放送時間 ：15:30～17:00（90分）
2009年7月25日にNHKホールで行われたファイナルコンサートのステージを収録