谷中暮色
映像作家、舩橋淳はNY在住10年を経て東京谷中に居を移し、カメラを回した。いまだほのかな人情と情緒を残すその地に、かつて五重塔が立っていたことを知る人は少ない。炎上消失した塔にまつわる記憶を辿りながら、住人たちの心象風景を写し出すドキュメンタリーだが、幸田露伴の『五重塔』を劇中劇として融合させる独特の手法をとる。“彼岸と此岸の谷間のよう”と捉える作家の意図どおり、現代と江戸時代を自在に行き来するうち、不思議な浮遊感にとらわれていく。ひとは何を失い、何を残そうとしてきたか。年老いていく職人たちの貴重な言葉がジンと沁みてくる。


舞台は東京下町の谷中。古いホームムービーの保存・修復活動をしているかおりは、昭和32年に焼失した<谷中五重塔>とその姿を記録した8ミリフィルムの存在を知る。寺院、霊園の墓守、伝統工芸の職人、郷土史家に取材を試みながら、ありし日の塔に思いを馳せるかおり。はたして幻の8ミリフィルムは現存しているのか。そんなとき彼女は地元のチンピラ・久喜と出会い、ひょんなことからフィルム探しを一緒にやることに。若い二人は互いに惹かれあってゆく。
一方、時代を遡ること江戸中期、五重塔の建設に燃える大工十兵衛は、親方や妻お浪の反対を押し切り、独力で塔を作り上げようとしていた。彼を突き動かす想いとはいったい何か?
寺町谷中のドキュメンタリーと、現代と江戸時代を往復するフィクションが渾然一体となり、伝統と創造の意味を問いかける。
原作:幸田露伴「五重塔」(時代劇パート)/脚本:根岸彩子・舩橋淳/音楽:Janek Duszynski/撮影:水口智之/照明:関輝久/録音:大関竜矢/美術:平山貴子/制作進行:太田真博/プロデューサー:市橋浩治・舩橋淳
挿入歌:
加藤勝丕「五重塔 再建祈願花」
作詞・作曲:加藤勝丕
畠山美由紀「This is Goodbye.」
作詞・作曲:Jesse Harris 訳詞:畠山美由紀
製作:ENBUゼミナール BIG RIVER FILMS
脚本・監督・編集 舩橋淳
作品フォーマット:
日本 / 2009年 / 107分 / HD / パートカラー / 1:1.77 / ステレオ / 日本語
シネマート新宿日程終了
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エリア | 新宿 |
住所 | 東京都新宿区新宿3丁目13-3 新宿文化ビル6F・7F(旧新宿文化シネマ2・3) |
アクセス | 東京メトロ丸の内線「新宿三丁目」駅B2出口より徒歩1分 |
電話番号 | 03-5369-2831 |
会場ホームページ | http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/ |
日程 | 2009年10月31日~2009年11月20日 |
特記事項 | モーニングショー |
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