屋根裏のポムネンカ
屋根裏にはガラクタたちの緊迫した日々があった——。人形のポムネンカが、悪の親玉にさらわれた。仲間たちはタンスからあふれるシーツの洪水を何とか脱出し、枕の雲がたなびく家具の山を登り、屋根裏の果てにある悪の帝国へと救出に向かう。黄ばんだサイコロや、風呂の栓のチェーンまでもが物語に溶け込んで登場。誰のものともしれないガラクタは、個人の懐古の情を投影する物体を通り越して完全に自由な存在だ。モノをどんなに大事にしても、この映画ほどオープンに、生きる宝として扱うことは不可能だろう。あまりにもきらめくその映像に目が熱い!


約65年の伝統を持つチェコ人形アニメーションは、造形と動きだけで登場人物の心を伝える豊かな表現力と芸術性の高さから各国の映画祭で圧倒的な評価を受け、日本をはじめ各国の芸術家・クリエイターたちにも多大な影響を与えてきました。そして2009年、チェコから届いた長編最新作は、屋根裏部屋に住んでいる、人間に忘れられたガラクタたちの世界!
本作の監督・脚本・美術を手がけたのは、チェコアニメ界最後の巨匠と呼ばれるイジー・バルタ。アニメーション史に名を残すイジー・トルンカ、ブジェチスラフ・ポヤル、ヤン・シュヴァンクマイエルの魂を受け継ぎ、その画期的なアイデアと職人的な技術から世界の人形アニメ界を牽引する彼が、「誰もが想像力を刺激されるアニメーション」として23年ぶりに完成させたのがこの『屋根裏のポムネンカ』です。
クローゼットから溢れ出すシーツの波、ふわふわと空を浮くクッションの雲……。2Dの線画アニメーションや実写映像など多彩な表現を織り交ぜながら、屋根裏のガラクタたちはまるで生きているかのように動き出します。その独特の味わいを支えているのが、アニメーターが1コマ1コマ人形を動かすストップモーション・ アニメーションの手法。CGアニメ全盛期の今、今どき非効率ともいえる方法にこだわったのは、それが世界に誇るチェコアニメの伝統的な手法だからだけではありません。
バルタ監督は語ります。「情報と娯楽が洪水のように溢れ氾濫している社会で、理解するのが簡単なアニメーションほど高い収益を上げています。それは本当はおかしいこと。良いアニメを理解し楽しむことは、観る人の想像力と思考力を必要とするはずなのです」
原案となったのは、誰もが幼い頃"友人"として一緒に遊んでいたおもちゃや、それがなくてはむずかるくらい愛用していた服や食器たちでした。
皆が経験のあるその思い出に命を吹き込むべく、監督はチェコの街からあらゆるガラクタや古道具を収集。それらを使い(時にはそのガラクタからインスピレーションを受けながら)登場キャラクターや人形を生み出していきます。
鼻がエンピツで耳はボタンの妖精・シュブルト、正義のために奮闘するマリオネットのクラソン、どんな危機が迫っても眠気と食欲は健在、くまのムハ。数々の可愛らしいガラクタたちが、"意外なもの"に姿を変えて、スクリーンをところ狭しと動き回ります。たまたま洗濯物を干しに屋根裏へやってくる人間のおばあさんと女の子、悪賢い黒ネコや奇妙な虫のドクターなど悪玉フラヴァのユーモアたっぷりな部下たち。屋根裏の世界をかき回す彼らも、監督のあふれるアイデアから生み出された必見のキャラクターです。
監督:イジー・バルタ
脚本:エドガル・ドゥトカ、イジー・バルタ
撮影:イヴァン・ヴィート
美術:イジー・バルタ
音楽:ロマン・パヴリーチェク
編集:ルツィエ・ハラモヴァー
音響:マレク・ムスル
アニメーター:アルフォンス・メンスドルフ・プイー、フランチシェク・ヴァーシャ、
ヤン・スタンツル、シチェファン・マルタウス、ミハル・クビーチェク
特殊効果:ボリス・マスニーク
監督アシスタント:ミラン・スヴァトス
プロダクション:マルチン・ツフナ
エグゼクティブ・プロダクション:イジー・ホラン
プロデューサー:ミロスラフ・シュミートマイエル/ビオイリュージョン
声優
お人形のポムネンカ:ルツィエ・ペルメトヴァー
クマのムハ:ボリス・ヒブネル
操り人形の騎士 クラソン:ウラジミール・ヤヴォルスキー
粘土でできた屋根裏の妖精 シュブルト:イヴァン・トロヤン
俳優フラヴァ(悪の親玉):イジー・ラブス
2009年/日本、チェコ、スロヴァキア/カラー/75分/
配給:アットアームズ/宣伝:東風
ユーロスペース日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区円山町1-5 |
アクセス | JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩10分 |
電話番号 | 03-3461-0211 |
会場ホームページ | http://www.eurospace.co.jp/ |
日程 | 2009年8月1日~終了日未定 |
時間 | 直接劇場へお問い合わせください |
特記事項 | 日本語吹替版あり |
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