所沢ビエンナーレ・プレ美術展:引込線

「所沢ビエンナーレ」は、2007年霜月、所沢市にゆかりのある美術作家数名の発案により始動いたしました。
発足当初からの主旨は、「表現者の原点に還って作品活動のできる場をつくること」でした。なぜなら、表現者といえども、刻々とかわる時代状況や美術思潮の変遷から無縁ではなく、そうした意味で、現在こそまさに、表現の純度、表現の強度を保つことの困難な時代状況にあると認識するからです。
その要因のひとつは、バブル期以降の美術をめぐる経済の肥大と衰弱。そしてその波の中で、多くの美術家や美術館員が指針を見失っていったこと。もうひとつは、その自己崩壊のなかで、美術思想は衰弱し、逆に、それに反比例するかのように、美術作品の極端な商品化、状況のコマーシャル化が進行していったことにあります。
たとえば、秋葉原風俗を背景にした一連のフィギュア・ポップもその一つといえますが、その凍りついたような人工性と一面性と表層性が、無差別殺傷事件に象徴される、深層からの逆襲を招いたともいえます。美術思想とは本来、表面から闇に向かって垂直に下りてゆくパースペクティブを獲得する「知」であったはずですが、闇を欠いた表層の美術とその周辺は、皮肉にも闇の側に飲み込まれることになったのです。美術が今取り戻さなければいけないのは、表層の快楽ではなく、闇を含めた存在の全体性の回復なのだと思います。そして、今それをなしうるのは、ギャラリーでもなく、美術館でもなく、作家自体の行動なのだと考えます。
このような経過の下、私たちは今年、自主企画展「所沢ビエンナーレ」・プレ美術展「引込線」を開催することになりました。また、参加者は美術家だけに限定されるべきではなく、美術批評家をはじめ、美術館員、美術教師、学者、思想家といった、美術を構成するすべての成員に、私たち美術家と同じ立場で参加して頂くべきだということになりました。
そうした意味も含めて、この展覧会は、前例に無い、画期的なものになるだろうと考えます。
「引込線」という展覧会のタイトルには、美術に係わるものの覚醒した意志を引き込む、吸引力のある磁場をつくり出したいという、作家側の切なる意図が込められています。
所沢ビエンナーレ実行委員会
実行委員長:中山正樹
副実行委員長:遠藤利克、戸谷成雄
実行委員:伊藤誠、高見澤文雄、建畠朔弥、多和圭三
ロゴデザイン・印刷物デザイン:大石一義
広報:坂上しのぶ、保谷香織
ウェブデザイン:飯田恵、細野一三(META STUDIO Ltd.)
会計:戸谷たみ子
監査:椎名節、前山裕司
主催・協賛・後援等
主催:所沢ビエンナーレ実行委員会 共催:所沢市、所沢市教育委員会
協賛:武蔵野美術大学、株式会社資生堂 協力:西武鉄道株式会社、埼玉県立近代美術館
後援:埼玉県教育委員会、日本大学芸術学部
西武鉄道旧所沢車両工場日程終了
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エリア | 埼玉県 |
住所 | 所沢市東住吉10-1 |
日程 | 2008年8月27日~2008年9月12日 |
時間 | 10:00〜18:00 |
料金 | 入場無料 |
休館日 | 会期中無休 |
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