建築がうまれるとき──ペーター・メルクリと青木淳──
面識のなかった、かわいい雰囲気とアートが好きな50年代生まれのほぼ同世代の建築家を引き合わせた展覧会。メルクリのドローイングも青木の模型も、プレゼンテーションのためではなく、自身でかたちや感触を掴むためにつくられたものだ。ぐにゃりとした線で、メルクリが描く家。雲のような形の板に乗せられて中空に吊るされた、青木の『Mのためのスタディ模型』の展示では、分岐しながら蛇行するようなプロセスをたどっていく。現実への対応と論理に絡めとられないバランス、そこに生まれる創造力とユーモア。美術館でのさらなる面白い建築展を望み、星半分残しておきます。


スイスのペーター・メルクリと日本の青木淳。このふたりの建築家の間に直接的なつながりはありません。けれども、絵画や彫刻を強くリスペクトしている点では共通しています。
だからでしょうか、それぞれが設計した《彫刻の家》と《青森県立美術館》という美術館は、いずれも、作品と厳しく対峙する空間を持っています。また、ふたりとも、かわいい雰囲気が大好きなのに、とてもクールな建物につくるという点でも似通っています。
本展は、そんな彼らが、頭の中にあるアイデアにかたちを与えていくプロセスに注目します。したがって、会場に、いわゆる完成模型や図面などはありません。では、なにが展示されるのか?
チューリヒからは、プロジェクトとは関係なくメルクリが描く膨大なドローイングの中から選ばれた約300枚と、《ノバルティス・キャンパス・ビジターセンター》(2006年竣工)のためにつくった愛らしいスタディ模型14点がやってきます。また彼に影響を与えた彫刻家ハンス・ヨゼフソンの作品も、小品2点が特別に展示されます。そして東京からは、青木が目下設計している住宅《M》のためにつくられた100個を超えるスタディ模型がやってきます。これらのオブジェクトが空間を埋め尽くすことで、ふたりの建築家の共通点と相違点とが生々しく伝わってくることでしょう。
「建築がうまれる」とき、いったいなにが起こっているのか、会場で感じていただければ幸いです。
主催・協賛・後援等
主催:東京国立近代美術館
後援:スイス大使館
助成:スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団
協賛:サンスター、ノバルティス ファーマ株式会社
協力:スイスインターナショナルエアラインズ、新建築社、エー・アンド・ユー
関連リンク
東京国立近代美術館日程終了
|
|
---|---|
エリア | その他23区内 |
住所 | 東京都千代田区北の丸公園3-1 |
アクセス | 地下鉄東西線「竹橋駅」(1b出口)より徒歩3分 |
電話番号 | 03-5777-8600 |
会場ホームページ | http://www.momat.go.jp/ |
日程 | 2008年6月3日~2008年8月3日 |
時間 | 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) |
料金 | 一般420円(210円)/大学生130円(70円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 *高校生および18歳未満、キャンパスメンバーズ、MOMATパスポートをお持ちの方、65歳以上、障害者とその付添者(1名)は無料。 また入館当日に限り、所蔵作品展もご観覧いただけます。 |
割引料金 | 無料観覧日:7月6日(日)、8月3日(日) |
休館日 | 月曜日(7月21日は開館し、翌22日休館) |
読者コメント(0)
コメントを書く
※コメントを書くには、MyPageユーザー登録が必要です。また、ニックネーム未登録のMyPageユーザーはマイページ設定からご登録下さい。
RT寄稿家コメント(0)
コメントを書く ※RT寄稿家のみコメントできます。