船、山にのぼる
ダムの建設により伐採される木で大きな船をつくり、ダムに溜まった水で山のてっぺんまで船を動かす。PHスタジオによる12年がかりのアートプロジェクトを追った、本田孝義監督によるドキュメンタリー作品。村の大きな「えみき」の引越しも同時に描かれる。移住を迫られた住人たちがその複雑な想いを船や「えみき」に託し、前向きに新しい1歩を踏み出しはじめる様子がよく捉えられている。広島県の北東部まで足を運び、腰を据えてみないと共有できなかった感動を渋谷の映画館で少しでも共有できる価値は大きい! トークも必聴。


森が引越します――
建築家と美術家と写真家からなるユニット・PHスタジオ。彼らと、ダムに沈む村に住んでいた人たちが紡ぎだす「船をつくる話」。たくさんの木が、船になって森に帰っていく。
山の谷間で船をつくる。緑のなかに船がある。
森と緑にあふれた場所がダムに沈むことになりました。ダムの建設で20万本の木々が消えることになります。それを聞いた建築家と美術家と写真家からなるユニット・PHスタジオは“森の引っ越し”をテーマとしたプロジェクトを思いつきます。
伐採される木で60メートル大の船をつくり、山のてっぺんに移動させる壮大な計画。それが12年にわたる大仕事の始まりでした。
ひとの想いもゆっくり引っ越して、村の真ん中の大きな木も大移動村を流れる川のほとりに500年前からある大きな木。村の人たちが「えみき」というムクの木が村を見下ろしています。森も木も人々の想いもゆっくり動きはじめたとき、えみきの引っ越しがはじまりました。村は上へ下への大騒ぎ。でも、みんな、昔のお祭りを思い出して楽しんでいるようです。えみきの引っ越しは無事に済むのでしょうか?! そして船は、ほんとうに山をのぼることができるんでしょうか?
たくさんの木が、船になって森に帰るまでの話
広島県北東部の山々に囲まれた旧三良坂・吉舎・総領の3町にまたがる灰塚地域。ここにダム建設の話しが持ちあがったのが40数年前。長い建設反対運動を経て美しいダム湖を残すためにダムエリアの再建が始まりました。それが「灰塚アースワークプロジェクト」です。そのひとつがPHスタジオの「船をつくる話」。ダムに沈む村の谷間に船をつくり、ダムにたまった水で船を動かす−−。映画はこのアートプロジェクトを静かに見守ります。
前作『ニュータウン物語』で自分が育ったコミュニティを描いた本田孝義監督は、本作でひとつのコミュニティの中のアートプロジェクトを見つめます。
PHスタジオって?
建築家と美術家と写真家からなるユニット(代表:池田修)。発足は1984年。「家具」「家」「都市」といった既成の枠組みを「棲む」というキーワードでそれらの解体と再読を試みようとしている。活動は、美術館やギャラリーでの展覧会、野外でのプロジェクト、建築設計等、多岐にわたっている。2004年12月から、横浜のBankART1929の構築と運営にかかわっている。
撮影:本田孝義/林憲志/濱子正
音楽:風の楽団
音響構成:米山靖
ナレーター:川野誠一
プロデューサー:伏屋博雄
製作:ビジュアルトラックス/戸山創作所
支援:文化庁/協力:PHスタジオ BankART1929
宣伝:スリーピン
配給:戸山創作所
■トークイベント
・4月11日(金)21:00〜(映画上映前)
ゲスト:竹内昌義さん(建築家/みかんぐみ) 、本田監督
・4月19日(土)21:00〜(映画上映前)
ゲスト:五十嵐太郎さん(建築評論家)、PHスタジオ 、本田監督
ユーロスペース日程終了
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エリア | 渋谷 |
住所 | 東京都渋谷区円山町1-5 |
アクセス | JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩10分 |
電話番号 | 03-3461-0211 |
会場ホームページ | http://www.eurospace.co.jp/ |
日程 | 2008年4月5日~2008年4月25日 |
時間 | 連日21:00〜 ※4月12日・13日、 4月19日・20日の土日のみモーニングショー有り(朝9:45~) |
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