COLUMN

mori
  • 『+81』編集長
    森なほこ
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mori

『+81』編集長の東京編集長日記

第8回:見上げる東京
森なほこ
Date: July 23, 2008

6月23日 真夜中の景色

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『+81』編集部がある外苑前の事務所には、わりかた広めのテラスがあります。愛煙者の私は一服休憩のたびにそのテラスに出るので、そこからの眺めは夢の中にもちょくちょく登場するほど馴染み深い。とはいえ、高いビルに挟まれているので、絵画館から続く銀杏並木のてっぺんが見えるくらいで、視界の大部分は目の前にそびえ立つ伊藤忠商社の本社ビル。でも、この眺め、なかなか嫌いになれない。というのも、夜中にテラスに出て、そっとそのビルを見上げると、いくつもの窓から煌々と蛍光灯の真っ白い明かりが溢れている。省エネの時代に少し不謹慎かもしれないけど、その白々した光を見ると「がんばっているのは私ひとりじゃないんだもんなあ」と、じんわり励まされた気になるんですよね。最近は246の道路補正工事も盛んで、工事現場のおじさんの姿にも結構胸キュン。

 

6月27日 W+K

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ワイデン+ケネディトウキョウの音楽&映像レーベル、W+K東京LABの設立5周年、リリース10作目を記念したエキシビションのレセプションで目黒のクラスカへ。これまでリリースした9アルバムのアートワークのビジュアルリミックスと、国内外のアーティスト42名による、ありとあらゆる形態の作品が一堂に介していました。少し遅めの時間に着いたので、宴もたけわなといった感じでしたが、久々に華々しい場所にお邪魔した気がします。ふう。Merce Deathのライヴを見逃したことが悔やまれます。

 

6月29日 近場に逃亡

雨が降り続く週末、世田谷にある瀬田温泉に。もう10年以上前から気になっていて、あらゆる噂を耳にしていたけど、実際に訪れたのは初めて。や、びっくり。私の浮遊欲を想像以上に満たしてくれる場所でした。緑に囲まれた露天風呂(男女混浴)はまるでプールのような広さ。しかも、人もまばらで、露天風呂には私らの他に外国人カップル1組のみ。空から露天に降り注ぐ冷たい雨も気持ちよく、お風呂上がりのビールも美味。東京とは思えない時間を味わい、かえって遠いどこかへ行きたくなってしまいました。


7月2日 原宿で森

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auがファッションやアートなど、さまざまな分野とのコラボレーションを展開するプロジェクト、another work*s。その一環として、+81のプロデュースによる5組のアーティストが携帯を用いたアートワークを制作してくれました。その展示会が、CIBONEプロデュースのプロジェクトとの合同展「Mobile in Forest Exhibition」というかたちで開催。本日はそのプレスプレビュー&レセプション。さすがにau、会場はものすごい人だかり。展覧会はもう終了してしまいましたが、ウェブから作品がご覧になれます。また、次号『+81 Vol.41』の綴じ込み小冊子では、参加クリエイターであるenamel.さん、OHGUSHIさん、黒田潔さん、浜田武士さん、福井利佐さんへのインタビューを掲載予定です。


7月5日 祝めおと

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高校の同級生(男子)の結婚パーティに出席。学生時代の友人の集まりにあまり顔を見せることのない私は、ほぼ同窓会と言っていいその面々に、準備もしないままタイムトリップしたかのような気分で戸惑ってしまいました。さて、パーティ終焉の新郎スピーチ。内容は全く覚えていないけど、彼の潤んだ声から感動が伝わってきて、私までじんわり。ふと隣を見ると、和田アキ子に扮した有太マン。感慨深そうな有太の横顔を見て、さらにじんわりとした感情が溢れる。こういう気分もたまには悪くないですね。
だいちゃん、おめでとう!!!


7月11日 ミクロ:マクロ

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前回もお伝えしましたが、8月11日発売予定の次号『+81 Vol.41』は音楽特集です。現在、入稿前で編集作業も大詰め。その表紙をお願いしているのは、SoulWaxの一連のデザインがあまりに有名なTrevor Jackson。そんな彼が今回見せてくれたのは、秋に開催予定の個展で発表するという新シリーズからの1点。詳しいことはまだ言えないけど、彼の柔軟な発想と、表現することへの挑戦、そして、音楽への愛情をひしひしと感じる作品コンセプトです。
ちなみに写真は、近所の居酒屋で撮った単なる照明。まるで惑星のような質感に、撮ってみてびっくり。今回の表紙の話と関係あるようでないような……。

寄稿家プロフィール

もり・なほこ/1975年東京生まれ。スノーボード三昧の青春時代を過ごす。『warp』等いくつかの雑誌編集部に在籍後、サンディエゴへ短期遊学。2003年『+81』編集部に入社。05年よりフリーランスとして同誌をメインに、『DAZED & CONFUSED JAPAN』他、様々なクリエイティブプロジェクトにてディレクションを手がける。07年5月発行『+81 Vol.36』より編集長に就任。