
なんだかんだバタバタと落ち着きのない毎日。理由もなくソワソワしていると、1日なんて「あっ」という間に過ぎてしまう。他の寄稿者の方々が文才と個性を遺憾なく発揮して、興味深い文章を寄せている中、心から申し訳ないと思いつつ、4月からの日々を足早に報告させていただきます。
4月10日 クレヨンの樹
KAMIさん7年振りの個展「The resurrection」へ。会場となったPOINTは初めて訪れたギャラリーでしたが、とても素敵なスペース。力強く、温もりを感じるKAMIさんの作品が、心地よくマッチしていました。巨大な作品の前にぼんやり立っていたら、小さなころ大好きだった絵本『ももりろのきりん』の中の“クレヨンの樹”をなぜだか思い出して、突如きゅんと懐かしい気持ちに。
4月11日 視界じゅうがネオン
約10年ぶりの大阪。行き交う人々の表情や服装、目に飛び込んでくるネオンの色、街全体から感じる活気、なんだか違う国に来たような気分。こんなときは恥ずかしがらず、思いきり“おのぼりさん”になってしまったほうが絶対に楽しい。たこ焼き、串揚げ……と、屋台を何件もはしごしながら商店街を抜けると、突如目の前に表れた道頓堀のイルミネーション。趣味がいいとか悪いとか、そんなことどうでもよくなるほど勢いのある電光飾の洪水に仰天。浮かれ気分のままSound Channelへ。手作り感満載のスペースと自分好みのサウンドに、テンションも気分も最高潮! Sound Channelは6月下旬に一時閉店し、その後、中心街のほうへ移転するそうですが、この文化祭っぽい雰囲気はぜひキープしてもらいたいな。
4月12日 シンクロに鳥肌

大阪に来た最大の目的、それはコーネリアス『ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW』の大阪追加公演を観ること。
デザインでも音楽でも、“まったく新しいもの”に出会うなんてことは皆無に近い。それに、歳を取って経験を重ねていくほど、“新しい感覚”を味わうことは少なくなってしまうと思う。けれど、このライヴはまさに、初めて味わう感覚を体験させてくれました。大阪まで来てよかったな。
後日、ライヴが終わるまでは、と取っておいたDVD『Sensurround』をようやく開封。「もったいないから1日1作ずつ見よう」と思っていたのに、見始めたとたん意識がぐんぐんと吸い込まれて、まんまと一気に見てしまった。
5月6日 浮遊欲

GW最終日はホテルニューオータニのプールへ。緑に囲まれた水温38℃の屋外プールで、ひと足お先に夏を味わう。ベタと言えばベタだけど、水の中をふらふら漂うのがたまらなく好きな私にとっては、なんとも素敵な企画。気軽だけど優雅に浮遊できるくらいの程よいプール、東京にもっとあったらいいのに。
5月12日 ピンク色の表紙

4月下旬に校了を迎えた最新号『+81 Vol.40 London Graphic issue』がようやく発売されました。ロンドンへ取材に行ったのが、遥か遠い昔のことのように感じます……。
こうやって1冊にまとめて見ると、ロンドンのクリエイターの多様性に改めて感嘆。なにより、取材と編集作業を通して彼らから、“ひらめき”と“熟考”のバランス、それが肝だと教えられた気がします。
5月15日 音楽とヴィジュアルの関係性
最新号が発売になったばかりですが、次号『Vol.41音楽特集』に向け、毎晩のようにリサーチを続けています。そして今は、サウンドクリエイター自身がオーナーを務める世界中のレコードレーベルを調査中。独創的なグラフィックと共に良質なサウンドを世に送り出しているレーベルは、どれも強烈な個性を持っています。なんだか面白い号になりそうです。
5月26日 プロモ
+81のウェブマガジン『plus81.com/plus』がリニューアルしました。今後は更新頻度を高めつつ、内容もさらに充実させていきますので、ブックマークよろしくお願いします。そして、次号の音楽特集に合わせ、音楽フェスティバルMetamorphoseとの特別コンテンツも6月中旬から期間限定で開設。出演アーティストへのインタビューや、グラフィックのアーカイヴ紹介など見どころ満載なので、ご期待くださいね。
6月10日 音の景観
大阪で立った鳥肌も醒めぬまま、次号のためにコーネリアスのインタビュー取材へ。小山田さんの独特のテンポに完全に飲み込まれてしまったような気がする……。後日、映像クリエイターの辻川幸一郎さん、グラフィック・デザイナーの北山雅和さんへも取材予定。あの鳥肌ものの世界観を、どのように共有しながら作り上げていったのか、それを探る旅です。
寄稿家プロフィール
もり・なほこ/1975年東京生まれ。スノーボード三昧の青春時代を過ごす。『warp』等いくつかの雑誌編集部に在籍後、サンディエゴへ短期遊学。2003年『+81』編集部に入社。05年よりフリーランスとして同誌をメインに、『DAZED & CONFUSED JAPAN』他、様々なクリエイティブプロジェクトにてディレクションを手がける。07年5月発行『+81 Vol.36』より編集長に就任。