

2007年12月4日 気づけば師が走る
街じゅうの樹々にキラキラ星が実る季節ですね。せわしないのにみんなどこかウキウキしている、この感じも嫌いじゃないです。
この時期になると、どの編集者も口を揃えて言葉にするのが「年末進行」。うちの編集部も例外ではありません。次の号は2月発売なのですが、いろいろな部分でのいろいろな事情により、もろもろの取材や素材収集を今年中に済ませておかなければならず大騒ぎです。大晦日の寸前まで一気に駆け抜けます。そして、ピカピカの抱負を胸に、平和な気持ちで新しい年の空気をお腹いっぱい吸いこみたいです。
12月8日 ダフトさん

待ちに待つ、そんな感覚は何年ぶりだろう……。チケットを手に入れた数ヶ月前から、ずっとずっと心待ちにしていたDaft Punkのライヴ。
なんといっても『Discovery』は永遠のMy名盤。期待していたイベントでちっとも楽しめなかった時、心が擦りむけた時、考えすぎて世の中がよく分からなくなった時、このアルバムを流してひとりで踊った。ポップなだけじゃない、マニアックでもない、どのパーツを聴いても気が利いている、このバランスとこのセンス!
会場は幕張。フロントアクトの演奏中は2階席の暗がりでウトウトしつつ、しっかり充電。遂にあのピラミッドが君臨し、いざ本番。はしゃぎすぎて、放電しすぎて、ほとんど記憶がありません。ただ、「気持ちがいい!」という感覚の余韻が、筋肉痛と共に残っています。
12月11日 光合成
最近ちっとも太陽と遊んでいないな。そんな思いから、ふと家の目の前にある小さな公園へ。ベンチに座り、目を閉じて空に顔を向ける。ヘッドフォンからは爆音でSPANOVA。太陽との対話はドクドクドクという自分の鼓動を明確にして、「生きているなあ」と強く実感させる。子供の頃に大声で歌った「手のひらを太陽に」の歌詞が頭をよぎり、Madsakiくんの作品『SUNSEX』のイメージが心いっぱいに広がりました。
12月14日 金夜


先日の光合成によるシンクロでさらに親近感が深まったMadsakiくん。彼の日本初個展のオープニングパーティで、目黒ライスファクトリーへ。高い天井のギリギリまでそびえ立つ巨大な立体SUNSEXには感服。異次元の濃密な陰陽の中にポーンと放り込まれたような感覚に陥りました。その後は、Vol.38「Fashion as Culture issue」でご協力いただいたN.Hoolywoodプレス伊部さん&グラフィックデザイナー半田さんと合流。+81制作スタッフであるhatosの神村さん&石阪さん、そしてなぜか『DAZED JAPAN』の山崎くんも加わって、モツ鍋会が開幕。N.Hoolywoodチームの100%天然によるボケ&ツッコミの強烈な連打に、ほっぺが筋肉痛になるほど笑い転げました。ひとりきりでは決してできない「笑う」という行為。誰かに笑わされて、誰かを笑わせて、一緒に笑って、それは本当に大切なこと。今宵はたくさん笑わせていただいて、ありがとうございました。Madsakiくん、伊部さん、半田さん、出会えたことを心から嬉しく思っています。
12月30日 いいフェスでした。

rockin'on主催のフェス『COUNTDOWN JAPAN 07-08』で再び幕張へ。お目当てはAPOGEEとサカナクション。基本的に洋楽を聴くことの多い私ですが、日本語のリリックがどうにも身に沁みる時がある。まさにそんな今の私にずしんと響く両バンド。あまりにライヴがよかったもので、翌日のクアトロにも行こうと決意。
2008年1月6日 織物のような音
Chillout Villageニューイヤーパーティ@高井戸倶楽部で、『+81』のリリースパーティでもお世話になったKuniyuki Takahashi a.k.a. Kossのライヴを久しぶりに味わう。彼が織りなす音の波に入り込んでいくうちに、自然と涙がほろほろと。いつかの情景や感情が喚起して泣けてきたのではなく、まったく新しい感情が生まれて、それが涙へと繋がった。2008年の初泣きにして、生まれて初めて味わった泣き方。繊細なのに力強く、優しいのに鋭い、さまざまな情緒を含む彼の音楽。いくら言葉で説明しても絶対に伝わりきらないので、実際に聴いてみてもらいたいです。
寄稿家プロフィール
もり・なほこ/1975年東京生まれ。スノーボード三昧の青春時代を過ごす。『warp』等いくつかの雑誌編集部に在籍後、サンディエゴへ短期遊学。2003年『+81』編集部に入社。05年よりフリーランスとして同誌をメインに、『DAZED & CONFUSED JAPAN』他、様々なクリエイティブプロジェクトにてディレクションを手がける。07年5月発行『+81 Vol.36』より編集長に就任。