





すでにREALTOKYOのRT PICKSでも紹介しているとおり、現在われわれ昭和40年会はトーキョーワンダーサイト渋谷にて『東京おみやげ』なる展覧会を開催中だ。
この展覧会は、各メンバーが考案した東京の新しいおみやげのプランを紹介するもので、会田画伯による「東京名物サラリーマンのゲロクッキー」など珍おみやげの数々を提案するほか、これで包めばなんでも東京みやげとなる松蔭デザインの包装紙、同じく松蔭が考案した東京都のマンホール模様の「トーキョー都どら焼き」の展示販売も行っている。12月11日(日)は昭和40年会恒例の大喜利スタイルで、来場者とともに東京みやげを考えるイベントも開催するので、多数のご来場をお待ちしております(詳細はこちらを参照)。
さてさて、この展覧会で僕は、やはり同会場で開催中である、ベルリンのグラフティアーティスト展『都市へアクション!ベルリン-東京』との連動企画として、両都市の地下鉄の音を使用したBGM(?)を制作した。
東京側の音源には、展示会場がある渋谷が始発駅であり、東京で一番古い地下鉄でもある、銀座線の音を選ぶことにした。そこで車内の音を録音するために浅草に行ったのだが、東京みやげのリサーチを兼ねて仲見世通りに行ってみた。実はこの東京を代表する観光地にいくのはほぼ初めてだったのだが、いやあベタな東京みやげ、いや日本みやげの数々があることあること。東京に住みながらも海外旅行(?)気分にひたれること間違いなし。思わず普段はやらないおみくじにもトライ。結果は凶……。
気を取り直して、レコーダーを隠し持って電車に乗り込んだが、東京の中心部を横断する銀座線のおもしろいところは、観光客が多い浅草、OLやサラリーマン中心の銀座・新橋、若者が乗り込む青山から渋谷と、エリアによって乗客がどんどん変化していくところだ。当然、車内のサウンドもいろいろと変化していく。


東京のようにエリアごとにキャラ立ちした街だと、こんなふうに電車を始発駅から終点まで乗るといろいろな発見がある。銀座線のように都心部のみを移動する地下鉄でもそうなのだから、東西にダーっと長い東京をフルに横断したらどうなのかと思い立ち、京王線に飛び乗って終点まで行ってみた。
こちらも僕には初めての場所だ。高尾山はちょうど紅葉シーズンの入り口、この記事が載るころには紅葉のピークじゃないかな。
これも行って初めて知ったのだが、標高約600mながら高尾山の登山はなかなかハードで、中腹までロープウェイとケーブルカーがあるものの、そこから山頂まで行くには徒歩で往復2時間以上はかかるとのこと。僕はといえばなんの準備もなくふらりときたので、荷物はあるしおよそ山登りとはほど遠い格好なので、今日のところは中腹の風景を楽しむにとどめておく。だいたいもう5時前だし。
という感じで移動づくしの一日だったが、東京を楽しむにはこんなふうに電車を端から端まで乗ってみるという手もあるわけです。いつも使ってる電車の終点って、案外行ったことないでしょう? みなさん。
寄稿家プロフィール
ありま・すみひさ/1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、即興演奏からCD、サウンドインスタレーションまでジャンルを横断する活動を展開。同年生まれのアーティスト集団「昭和40年会」など美術家とのコラボも多数。国内外の展覧会への参加も多い。ジョン・ケージの『Europera 5』の日本初演など、最近は現代音楽の仕事が増えつつある。(Portrait: Matsukage Hiroyuki)