

バーチャルリアリティーな世界では「全ての立体は、その表面を三角形で分解できる」そうで、ポリゴン画像を作るうえでこの概念が使われていたり、地図を作成するうえで3つのポイントに測量器の足がおろされていたりします。
いろいろな三角形で分解できる丸い地球に住んでいながら、僕らは直角・水平・平行な四角い部屋に暮らすことを好み、四角いテレビの画像を見て、四角い紙に日記を書き、四角い布団の上で寝ています。ふっしぎー。
さて、前回、僕は「日出づる工場の国の首都・トウキョウの景色。模型とたいして変わらなく見えてきます。同じように図面にのっとり組み立てられたものだらけです」と書きました。
もしトウキョウを好きなように作り変えても良いと頼まれたら、僕は平安京や平城京のように、地面を真四角に区画整理し、ファミコンソフトの『シムシティ』みたいな街にします。
工業団地、商業地区、住宅街の3つを効率良く配置し、街が盛り上がってくると、スタジアム、公園、文化施設、空港などを設置していくこのゲーム、10年前に相当ハマりましたね。上手に街を育てるコツは、道路や鉄道を効率良く配することでしたよ。
道といえば「コンテンポラリーアートは、ストリートから産まれる」と、よく言われています。
街に複雑な導線があり、そこに行き交うひとびとが様々な人間交差点を経ることによって、ドラマティックでアートなことが産まれる、そうですが……。
しかーし! トウキョウの複雑な導線は、事故や混雑を招きやすい!!
なになに、それこそが都市のダイナミズムを形成しているんだ! と、やんちゃっぷる芸風も4年に1回は良いですが、大人な考え方をすれば、街はやっぱり、お年寄りや小さなお子さまたちが安心して歩ける場所であることに越したことはないですよね。人間交差点を行き交うのは、元気な若者だけで良いのでは?
と、土佐正道、今年の7月に40代を迎え、ちと保守的な発言。オヤジの仲間入りをしたついでに、冷や水浴びながら暴言させていただきますと……
コンテンポラリーアートがストリートを行き交う若者から産まれた文化なら、もしトウキョウを好きなように作り変えても良いと頼まれたとき、僕はこれらをまっ先に後回しにします。
なぜなら、どうせおまえら、オシャレな空間を作っても、愛とか恋とかしか歌わないだろー?! 男子は談合して橋を作れ! 女子はmixiの「友だちまで公開」を止めろ! わかりあうまえに、わかりやすーい「直角・水平・平行」なトウキョウを作れー!!

佐野美術館(静岡県三島市)特別展『田宮模型の仕事』にて8月31日まで展示中。
乾電池ひとつを16分音符に見立て、横16列に並べた電池ボックスに配列し、8つの太鼓を鳴らすリズムパターンを作る。「理路整然〜」な世界観満載。
僕は「何を以て美しいと思うか?」と聞かれたら「同じモノが理路整然と並んでいる状態」と答えます。トウキョウでそんな場所を挙げろと言われたら、浅草の仲見世通りですかね。まっすぐで、等間隔にお店が並んでるところがキレイ。そしてなにより、お年寄りや小さなお子さまたちが楽しく歩けるってーところがいーじゃねーか。(うーん、結びが蛇足で申し訳ないけど、巳年生まれってことで勘弁!)
『昭和40年会のサマージャンボ夏祭り』開催中(表参道NADiff)
8/19(金)には、土佐正道氏が使ってきた日用品を破格のお値段でご提供します!
詳細はhttp://www.nadiff.com/gallery/2005/group1965/group1965.html
寄稿家プロフィール
とさ・まさみち/1965年兵庫県生まれ。1993年ごろから明和電機を中心に活動。2001年3月31日に明和電機を定年退職。以後の活動は、ホームページ参照。