COLUMN

40nen
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昭和40年会の東京案内

第8回:東京っていったいどこだ?
小沢剛
Date: May 06, 2005

「埼玉県東京説」。まず、始めに僕はこれを言いたい。

埼玉県に長く住む人に会うたびに僕は問いかける。「埼玉の名物は? オシャレスポットは?」。誰一人答えられる人はいない。なぜならば、多くの埼玉県人は、通勤通学で東京に行き、場合によっては休日も都内で過ごす。地方に出張や旅行で行けば、「東京から来ました」と、つい自己紹介する。そして新宿には「埼玉県領事館」がある。そのぐらい、県民(特に、県の南部エリア)のアイディンティティーは県内ではなく、都内にある。一方、日本の多くの人は東京ディズニーランドが東京都内ではなく千葉県にあることを知っている。そして、若干の違和感を残しつつも東京ディズニーランドと名乗ることを認めている。また、僕の友人が、小学校の時に、世田谷区から青梅市の山奥に転校した。登校初日に、「世田谷から転校してきた———君です」と紹介されると「わー東京からなんだ!」と言う声があったとのこと。地図で見れば分かるが青梅市は、東京都の西の果てにある。

 

あくまで個人的な乱暴な意見かもしれないが、僕は東京を次のように規定している。「都心への通勤通学圏であり、かつ、車が無くても生活できるところ」。それが東京である。そして、東京ディズニーランドは間違いなく東京なのであり、現在僕が暮らす埼玉県さいたま市も間違いなく(ぎりぎり)東京である。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、そんなぎりぎり東京のおすすめスポットに話を進めよう。

 

ドイト

まずは、美術家として、材料調達は重要である。郊外には巨大なホームセンターがあるので、ひじょうに重宝している。各種素材、工具。一般的にはドイトといわれているが、個人的には、ドイトと書いてハンズと読むことにしている。


イオン北戸田ショッピングセンター

昨年暮れに出来た超巨大なショッピングセンター。3フロアのみだが、向こうがかすむほどの巨大空間で、商業施設面積60,375平方メートル。駐車場は、平面・4階・5階・屋上をあわせ2,534台収容可能。本来は、人情味あふれる商店街が好きなのだが、残念ながら郊外エリアにはあまり存在しない。ここに売っているものは全国どこででも手に入るもので特別書くことはないのだが、とにかく子連れ客が多く、子どもの遊び場が充実している。やけにエンターテイメント臭が強すぎて、あまり好きではないが、その傍らにお父さん用にマッサージ椅子が置いてあるのが笑えます。


ジョン・レノン・ミュージアム

しばし、田舎には、何の脈絡もなくスペイン村とかドイツ村などがあってとても恥ずかしい。しかし、わがさいたま市の「ジョン・レノン・ミュージアム」はその延長線上で語られたくはない。その理由は、展示品の充実。説明が少々多すぎだが、見せ方がうまく、心を打つものがある。小野洋子の作品も多数展示してあり満足できる。なぜか館内で結婚式が出来るので、おすすめです。それにしても、今日は、すぐ隣のさいたまスーパーアリーナでビジュアル系のバンドのコンサートがあるようで、ゴスロリというのだろうか、不思議なファッションに身を包んだ少女があちこちにたたずんでいた。日常で自分の居場所がない彼女たちの精一杯の自己表現なのだろうか。一度だけでもいいからジョン・レノンを聞いてもらいたい。


「未来の新名所」

さて、こんな、情けない魂の東京都埼玉県にもチャンスがやってきた。「ジョン・レノン・ミュージアム」のある新都心のすぐ近くに、「新東京タワー」が出来るかもしれないのだ。つい最近、6つの候補地の中から選ばれ、堂々の第二候補地となった。悪く言えば補欠なのだが、もし建設することになったら、世界一の高さ(約600m)の構造物が埼玉に出来るのだ。それ以上に、「新東京タワー」という名で、ますます東京度がアップする埼玉なのである。

【お知らせ】

 

■40×40プロジェクト『40(サーシブ)展』記録展

会期:2005年5月24日(火)〜5月29日(日)
時間:24日〜27日 18:00〜23:00
(ただし24日と26日はイベント開催のため一般展示は19:00まで)
28日、29日 13:00〜23:00
会場:RICE+
入場料:展示のみ見学可。期間中はカフェ&バーを営業、飲食代は別途となります。
主催:昭和40年会
協力:RICE+

今年3月25日から26日にかけて、韓国のアートエリア「弘大(ホンデ)」のギャラリーと飲み屋を舞台に、24時間ぶっ通しで行われたイベントのドキュメントを、イベントの様子を収めたビデオと写真で紹介。

 

<会期中のイベント>

●パルコキノシタ バースデー企画『突撃ハルコの晩ご飯へようこそ!』
日時:5月24日(火) 19:00より
会場:RICE+
定員:28人
申し込み方法:RICE+のe-mail(info@riceplus.org)にて先着順で申し込み受付
参加費用:2,500円(2ドリンク付き)

パルコキノシタの誕生日5月24日に、パルコが一日ハルコに扮装し、買い出しから炊き込み、接客まで一日おばちゃんを演じます!
昭和40年会の伝説的映画「晴れたり曇ったり」のなかで生まれた木下ハルコ。そのキャラクターそのままの、やる気の無い横柄なメニューが目白押し!

○メニュー例
・京島の米屋でかったひとめぼれとすし太郎に謎の具
・ハルコおばちゃんも韓国に夢中!。ヨン様大好きメニュー
・カレーを作ったつもりがいつの間にかシチュー!!!!
・涙ぼろぼろ団扇ぱたぱた七輪焼き(ただし客に扇いでもらう)
などなど、やる気のないメニューで皆さんをお迎えしたいと思います!

 

●小沢剛 バースデー企画『ベジタブルウェポン向島バージョン』
日時:5月26日(木) 19:00より
会場:RICE+
定員:28人
申し込み方法:RICE+のe-mail(info@riceplus.org)にて先着順で申し込み受付
参加費用:2,500円(2ドリンク付き)

小沢剛の誕生日の5月26日に、地元向島で見つけた下町の太陽とともに、「ベジタブルウェポン向島バージョン」を制作します(撮影は非公開)。19時よりベジタブルウェポンで作った下町料理をふるまいます。(料理内容未定)

 

●『さよならRICE+パーティ!』
日時:5月28日(土) 19:00より
会場:RICE+
定員・申し込み方法:特にないので、どんどん来てください。
参加費用:2,500円(2ドリンク付き)

下町に誕生したユニークなオルタナティヴ・アートスペースRICE+は、昭和40年会の展示を最後に休業いたします。これは事実上の最後の思い出作り。
RICE+をこよなく愛してくれたみなさんと一緒にRICE+の思い出をお話したいと思います。どうぞ、これを機会にRICE+を堪能してください。なお、昭和40年会のメンバーがいるとは限りません。もし会いたいのであれば翌日のイヴェントに参加しましょう。

 

●『40(サシーブ)展』記録展 最終日の打上宴会
日時:5月29日(日) 19:00より
会場:RICE+
定員・申し込み方法:特にないので、どんどん来てください。
参加費用:2,500円(2ドリンク付き)

当日は、現代美術製作所で昭和40年会による「演芸会」が開催される。その後の打ち上げとしてRICE+で昭和40年会のメンバーが最終日を盛り上げる!? 予定。

 

■パルコキノシタプロデュース『向島演芸会〜昭和40年会大喜利大会』

日時:5月29日(日) 15:00〜18:30終了予定
会場:現代美術製作所 東京都墨田区墨田1-15-3
   TEL/FAX 03-5630-3216
入場料:1000円、ドリンク軽食付き

●主な出し物
・パルコキノシタのメキシカン三味線
・松蔭浩之ことタマキン・ホルヘさんが有馬純寿のメロディによるフラメンコ
・小料理屋の大将による大詩吟ショー
・土佐正道による鉄板ショー
・おばあちゃんの手品
・モンブランズのコント
・総勢10数名によるウクレレ大合奏
・高校生手品
・かっぽれとフラダンス謎の競演
・草笛おじさんによる講習会、会場全員で草笛
・飛び入りゲスト
●そしてパルコが三波伸介に扮する昭和40年会と池田昌紀(ざぶとん)の「アート大喜利」!!
終わりには秘蔵アートグッズのオークションも有ります。

昭和40年会 http://www.40nen.jp/

寄稿家プロフィール

おざわ・つよし/美術家。1965年東京生まれ。東京藝術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める『地蔵建立』開始。93年から牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー『なすび画廊』や『相談芸術』を開始。99年には日本美術史への皮肉とも言える『醤油画資料館』を制作。2001年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ『ベジタブル・ウェポン』を制作。2004年には森美術館にて個展『同時に答えろYesとNo!』を開催。