要潤主演の実写版も記憶に新しい、『週刊少年ジャンプ』連載中のうすた京介原作ギャグ漫画を『秘密結社 鷹の爪』の蛙男商会がフラッシュアニメ化。クールでミステリアスな王女を真木よう子が、王女の従者を伊武雅刀が、板東英二にそっくりな野球好きの３人家族を板東本人が、そして悪の親玉“ア＝ボク＝ボス＝デス”とその部下を蛙男商会主宰のFROGMANが声優として熱演している。タイトルからおちょくり感が漂うが、パロディ満載でハチャメチャてんこ盛りストーリーはもはや解説不可能。とにかく脱力したい人向けの１本。

高校生のミチ（原田佳奈）はステンドグラス作家として地元で活躍していた。一方、いとこの俊太郎（伊坂俊哉）は東京で絵本作家として暮らしていたが、ある日、女性を連れて地元に戻ってきた…。女子高生が年上のいとこに抱く、せつなくも壊れそうな想い。“女性”のことが気になるミチ。そのミチを追いかける同級生の啓吉（大塚朝之）の一途さにも胸がキュンキュン。俳優としても魅力をもつ村松亮太郎監督の処女作は、５年の時を経ての公開となる。諏訪市を舞台に、冬の透明感ある空気を映しとり、ゆっくりとしたテンポでかけがえのない“時”を捉える。

JBBGの新アルバムの１曲目はCinematic Orchestraら本格的なジャズ×電子音楽の先駆者たちとそれほど変わらないので、このジャンルへのイノベーションはあまり期待できなさそう。しかし２曲目からは、ジャズやスイング、映画音楽、ルンバ、タンゴなど、ビッグバンドで演奏できるならなんでもありの旅だ。それだけではもちろん革新にならないのだが、今まで聞いたことのないかたちで豊富な音楽の主体がミニマルテクノやハウスのリズムに乗ったり、テルミンなどでひと味添えられたりする。演奏のスタイルと、それに加わる電子スパイスによる味付けがまったく予想できない方向に展開する、全ての音楽ファンにとって非常に楽しいアルバムのはずだ。

東京でアイドルをやってみたけれどうまくいかず、マネージャーと結婚してみたけれど離婚。片田舎の実家に出戻ったノン子は、ママチャリで町をぶらぶらと流し、知り合いのバーで酔ってくだを巻く。そんな彼女の前に、ちょっと奇妙な若い男が現れる……。日本映画界を牽引する若手のひとり、熊切和嘉監督の新作。初めて女性を主人公にした本作は、アラフォーの切なさを演じさせたらピカイチの坂井真紀をまずキャスティングし、脚本を当て書きしたという。どうりでぴったりハマっているはずだ。バツイチやさぐれ三十路の悲哀にしみじみと共感してしまった。

「不思議ちゃん」がそのままオバサンになってしまったようなファニー。兄夫婦と暮らしているが、どうにもこうにもうまくいかない。ある日、義姉の不倫を目撃した彼女は、限界ギリギリまで我慢した末、一大決心して家を出る。「社会不適合」というスタンプを押されてしまいそうなヒロインが、フランスの片田舎からドイツへ車を走らせる。その途上で出会った木こりのオスカーとは、言葉は通じないのになぜか心が通い合う。ふたりが寄り添って行く過程が実に愛おしい、大人のための愛のロードムービーだ。

四川省の農家に生まれたジャスミンは、家計を支えるため16歳で都会に出稼ぎに。ジーンズ工場で“糸切り”の仕事を得た。工場に隣接する寮の狭い部屋で暮らしているが、数人のルームメイトの中には14歳の子もいる。徹夜もしばしばの過酷な労働なのに、時給はわずか0.5元（約7.8円）。どんなに働いても月給は１万円に満たない…。中国の“世界の工場”という側面に光を当て、労働する少女たちを追ったドキュメンタリー。製品の輸出先は欧米や日本であり、まったく他人事ではない。搾取される少女たちの未来に希望はあるのだろうか。

SM調教師、ポールダンサー、薬局の店員として働きながら夢や憧れを持ち続ける３人を主軸に、さまざまな人種とカルチャーが入り交じるロンドンの風景を切り取る。「マドンナの初監督作品」ということで、期待したり敬遠したりするかもしれないが、そんな気負いは要らないインディーズ映画。主人公たちには監督自らが投影され、特にAKを演じたユージン・ハッツ（ジプシー・パンクバンド、ゴーゴル・ボルデロのボーカルでフジロックにも出演）はお気に入りで、脚本を当て書きした。彼の楽曲はもちろん、マドンナの曲も入ったサウンドトラックにも注目。

月へ行った宇宙飛行士へのインタビューを中心に、「アポロ計画」を記した意義深いドキュメンタリー。アポロ11号（1969年）以降、12人が月面に降り立った。人類で月を歩いたのは、後にも先にも彼らだけだ。オルドリン飛行士が初めて月に足を下ろす瞬間のエピソードをはじめ、実際に月の地を踏んだ人たちの詳細な体験談は貴重で、含蓄があり、次元を超える…。ずっと冷却保存されていた膨大なフィルムから選び抜かれたNASA蔵出し映像に感動しながら、「地球に生まれて、なんて幸運なんだろう」という言葉を胸にしっかり刻み込もう。

リスボンのアフリカ系移民集住区で暮らす労働者、ヴェントゥーラ。妻に見捨てられ、廃墟同然のスラム街から再開発が進む近代的なマンションへ強制移住させられた彼は、自分の居場所を見失い、途方に暮れる…。国際映画祭で高く評価されるポルトガルの俊英、ペドロ・コスタ監督が『ヴァンダの部屋』に続いて放った最新作。薄暗くて人の顔もよく見えないスラムの闇と、ハレーションを起こしたかのように真っ白なマンション、主人公が往来する２つの世界の対比がおもしろい。絵画のような構図、ドラマとドキュメンタリーの際をなぞるストーリーも秀逸。

瀬尾まいこの人生応援小説を、長澤雅彦監督がゆったりと柔らかく映画化した。都会で人生に疲れてしまったOLが再び自分をとりもどすまでの、サンクチュアリのような田舎での時間。ある重大決心をして、京都、宮津の山奥、さびれた民宿にたどりついた千鶴（加藤ローサ）だったが、自然に抱かれ、人の本当のやさしさに触れるうち、痛んだ心が少しずつ修復されていく…。自らも都会生活を捨てた民宿「たむら」の主人を演じる徳井義実は、「これは僕のスイッチオフの状態」と言いながらも“素の演技”が絶妙にハマり、初主演にして演技派を印象づけた。

映画と建築の奥深い関係を、著者独自の切り口と数多の作品で検証。室内、建物、景色、都市とスケールアップする空間にあわせ、映画的空間と建築的思考が入り交じる。あらゆるイメージをコラージュした虚像の映像的リアルさにせまる。小津や黒澤、海外の新旧の名作はもちろん、宮崎アニメの城、押井守の極限都市、円谷プロも登場。『ツイン・ピークス』にうなずき、『クレヨンしんちゃん』さえ興味深く映るのは、五十嵐マジックか。理解度と映画鑑賞数が比例するので、空間映像名作ガイドブックとして有効活用する手もありです。

舞台は中国返還間近のマカオ。穏やかな昼下がり、赤ん坊を抱える女のもとへ２人の男がやってくる。そしてまた２人。香港のボスを銃撃し逃亡中のウーを探して再会した彼らは、ウーと兄弟のように育った昔なじみなのだが……。香港ノワールの巨匠ジョニー・トーが、マカオを舞台に真骨頂を発揮。アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ロイ・チョン、ラム・シュ、ニック・チョンというドリームキャストで、男たちの新たな物語を生み出した。ポルトガル領のエキゾチックな風景の中で描かれる、むせ返るような男のロマンにただただうっとり。

さそうあきら原作のコミックを萩生田宏治監督が『神童』に続いて映画化。小学５年生の妊娠・出産というショッキングなモチーフを扱っているため、秋田県能代市でのロケ中から物議をかもしていた。医学的に実現可能かという問題はさておき、不安でいっぱいの少女がクラスメイトに支えられながら臨月を迎え、物置小屋で子どもたちだけで出産するシーンは感動的（実際にはムリでしょうね…）。子持ちの人は、「とはいえ、ほんとうにたいへんなことなんだよ」と言い聞かせながら、子どもと一緒に観て話し合ってみるのもいいかもしれない。

リトルモアとユーロスペースの即決で劇場公開を果たした、横浜聡子監督の自主映画。「ゴリラーマン」とあだ名される天涯孤独の16歳のよし子が主人公だ。歌手になるのが夢。自分の表現を信じられるのは自分しかいない。だから劣等感や世間の欺瞞と闘う。その姿はわがままで強引にも見えるが、よし子は常に無心で本気なのだ。ひとりで闘うよし子。だが、人がこの世に生まれ出てくるところを想像し、周囲の存在があって自分がいることにも気づく。美もくそったれもすべてがあって「世界」なのだと泣き笑いするような物語。主演の野嵜好美も逸材。肩で風切って出かけよう。

タイトルは、平均年齢80歳のメンバーで構成されたコーラスグループの名称。アメリカの小さな町で活動する彼らが歌うのは、ザ・クラッシュの「Should I Stay Or Should I Go」、ジェームズ・ブラウンの 「I Feel Good」などロックやR＆Bが中心で、老いた肉体からは想像しがたいエネルギーがほとばしる。刑務所の慰安では子どもや孫ほどの受刑者たちの前で歌い励まし、コンサートのチケットは即完売。50〜60代の観客が「もう疲れたなんて言えないわね」と、「ヤング＠ハート」から元気をもらっている。誰もがポジティブになれること請け合いのドキュメンタリー。

ミック・ジャガーがドジョウ髭で大マジメの中国の皇帝役かと思えば、フランク・ザッパは怪しい大男を迷演（試写室はクスクス笑いが充満）。何ごとかと思えば、正体は80年代アメリカで大人気の、名作童話をベースにした子供向けテレビドラマシリーズだった。このBOXには、当時放送された全26タイトルのうち厳選12タイトルが収録されている。まだ駆け出しだったティム・バートン監督が手がけていたり、名俳優たちに混ざってアカデミー賞ノミネート俳優、故マコ岩松が見られるのもツボ。なんともＢ級なトホホ感に身を任せ、日頃の疲れを吹き飛ばす…？

父親が残した莫大な借金を背負って突然会社を辞めてしまった、どこか方向感の定まらない野上（西島秀俊）。とりあえず、祖父（高橋昌也）の土地を売って借金返済をもくろんでいたのだが、祖父は首を縦にふらない。どうやらその地に建つアパートの２階に秘密が…。野上と“連れ退社”した三崎（加瀬亮）、見合い相手の涼子（竹花梓）も加わり、“そこ”に宿るかけがえのない“記憶”に触れていく。新人の池田千尋監督と大石美智子脚本が描く一風変わった“ホームドラマ”。ベテランたむらまさきのカメラが心の揺れを繊細かつ大胆に映し撮る。

中東社会で働くCIA工作員という生々しい設定の娯楽作。60年代にソ連を仮想敵に描いた映画界も、現代ではアクション娯楽作品でさえ「イスラム社会と戦うことの不毛さと恐怖」を訴えている。予告編は「誰が味方か、中東でCIA工作員を巻き込む疑心暗鬼サスペンス」的に煽っていたこの作品、なんと実際は「中間管理職の悲哀」を描く物語だった。本社の上司の振る舞いに現地取引先がオカンムリ。両者の板ばさみになりながら働くCIA中東支局長ディカプリオは、まさに「サラリーマン」の比喩であった。タイトルも実は原題とは異なる、まさに嘘・嘘・嘘の一作。

ある青年の人生の再出発を追う。ジャックという新しい名前で、新しい街に住み、新しい仕事に就いた、かつての“少年Ａ”。友にも恵まれ、恋もした。なにかと初めての体験に胸を躍らせる….。“過去”さえ知られなければ…。ジョナサン・トリゲルの小説をジョン・クローリー監督が映画化した本作は、文句なく個人的2008年のベストに。ヒリヒリと疼く孤独な青年の心をナイーブに演じたアンドリュー・ガーフィールドが強烈な存在感で、異彩を放つ。“私たち”はＡを許し、受け入れることができるのか否か、これはリアルに身近にある問題なのだ。

本ドキュメンタリーの監督、アーロン・ローズが1992年にNYに作った『アレッジド・ギャラリー』。小さな空間に生まれた不思議な求心力は、グラフィティアートのバリー・マッギーやマーガレット・キルガレン、映像クリエイターのマイク・ミルズやハーモニー・コリン等々…、ストリート育ちの多様多才なアーティストたちを次々と惹きつけた。ギャラリーに寝泊まりしながら“ものづくり”に没頭する彼らは、誰も正統にアートを学んだことがない“落ちこぼれ”ばかり。ただ自分の信じることをやり、それを人と分かち合う。ミラクルはそこに起きた…！

ロシアンマフィア経営のクラブで働くボビーは、華やかなヤクザ生活を満喫中。そんな彼は警察一家の出身で、父親と兄は麻薬組織の撲滅を目指している。ボビーのクラブを検挙後、何者かに襲われて重傷を負った兄。次の標的が父親だと知ったボビーは…。組織と家族。２つのファミリーの狭間で揺れるボビーが、潜入捜査に乗り出していくドキドキ感がたまらない。監督＆脚本のジェームズ・グレイに惚れ込んで、プロデューサーも務めた主演のホアキン・フェニックスと兄役のマーク・ウォールバーグ。彼らのチームワークのよさがにじみ出ている。

一流企業の管理職として働いていた夫はリストラされるが、プライドが邪魔して再就職もままならず、うろうろと街をさまよっている。小学生の次男は担任の先生と折り合いが悪く、給食費を使ってこっそりピアノを習い始める。バイトに明け暮れる大学生の長男は、米軍に入隊するための準備を着々と進めている。てんでんばらばらの生活を送る彼らを、家族の軸となり繋ぎ止める妻で母の恵。めきめきと女優っぷりを上げている小泉今日子が演じ、どっしりした存在感を発揮している。シリアスだけどコミカルな、東京の家族を描いた新たな秀作が誕生した。

ネルソン・マンデラの故郷近くで育ち、コーサ語がわかる看守のグレゴリーは、赴任先のロベン島刑務所でマンデラの担当に抜擢された。やがて島を去ったグレゴリーは、再び彼の看守となる。注目はグレゴリーの妻グロリア。筋金入りの差別主義者ではなく、身近にいそうな人として描かれる。美容の仕事で家計を支えつつ、日常を大事に守る生き方はずっと変わらないが、その内面はじわじわと曖昧に変化する。グロリアはごく一般の、現実の生活に追われざるをえない私たち生身の人間が、そのままでも確実に、少し先へ進めることを示しているように思う。

とうとう部員は龍太郎（永山絢斗）独りきりになり、廃部寸前の櫻木高校応援団。そこへ野球部エースに恋をした女の子が入部してきた。「彼の試合を近くで見たいから〜」そんなカワイイ下心の桃子（新垣結衣）が、なんと応援団長をやるはめに。無理やり部員を集めたもののサマにならず、他校からはバカにされ、野球部からも応援を断られる始末。見かねたOBおじさん連中が“応援の極意”を彼らにたたき込もうとするが…。ヘタレ高校生にスイッチが入り、みるみる逞しくなる後半戦がおもしろい。誰かを応援するときの心得とは、さて何でしょう？

国道246号線にまつわる６つのストーリーは、監督ラインナップも豪華ながら、キャスト陣がなんとも贅沢。浅野忠信が撮る加瀬亮、永瀬正敏、新井浩文、ILMARIが撮る石田卓也、さらにユースケ・サンタマリアが撮る永作博美とユースケ自身の不思議な夫婦も楽しすぎる。なかで異彩を放つのは、m-floのVERBALが手がける唯一のドキュメンタリーだが、日本のHIPHOPシーンに大胆にメスを入れ、ラッパーたちの赤裸々な本音を引き出しているだけに、ショートにしておくのは惜しいかも…。須藤元気のトボケた未来感覚には妙にはまりそう。

ある小学校の新任教師が、クラスで１匹のブタを育てながら行なった『食育の授業の記録』（黒田恭史著）がベースになっている。星先生（妻夫木聡）と26人の生徒、そしてブタのＰちゃんが主役だ。当初「食べる」ことを目的に育ててきたものの、やはりペットとして愛情が湧いてしまう。ついに“食べるか、食べないか”の決断を下す日が…。白熱の討論シーン、子どもたちの真剣でリアルな感情を、前田哲監督が巧みな演出で自然に引き出している。「命」と向き合い、さらにはどうやって自分の感情との折り合いをつけるか、試練を乗り越える強さも学んでいく。

“ランジェリーのお店を持つこと”、それはマルタの遠い青春時代の夢。最愛の夫に先立たれ、意気消沈していた80歳の未亡人が一念発起、スイスエメンタール地方の美しい刺繍を縫い込んだ下着を、昔とった杵柄で作り始める。しかし、小さな村は保守的過ぎて、やっとオープンした“色っぽい”お店は大ブーイングにあってしまう…。マルタ演じるスイスの人気喜劇女優、シュテファニー・グラーザーのイタズラっぽい瞳がなんともラブリー。好奇心を持つこと、夢をあきらめないこと、そして友人を大切に。高齢化社会、楽しく生きる秘訣はこれか！

息子を失った主婦の順子は心を病み、奇行に走っている。いたたまれない夫の喜一は、職場の女子社員と恋の逃避行。メロンパンを車に積み、スーパーの店頭で売る世之介が孤独な順子に出会い…。登場人物すべてが恐るべきキャラ者ぞろいで、元宝塚歌劇団娘役トップの大鳥れいや落語家の桂都んぼら、演じる役者たちがかなり上手い。ブラックユーモア満載だけど、ほろりとさせられるところもある奇妙キテレツな作品。山下敦弘らを輩出した大阪芸大卒で今年25歳の石井裕也監督には今後も注目が必要だろう。続々とDVD化されているほかの作品も要チェック。

舞台はロンドン。11歳の息子をもつシングルマザーのアンジーは、勤めていた職業斡旋会社を解雇され、友人と職業紹介所を立ち上げる。しかし、不法移民を違法に働かせたり、トラブルに巻き込まれて賃金が支払えなかったりと仕事は難航。ついに怒り心頭の労働者に暴行され、息子が誘拐される…。当初は移民の味方だったアンジーが、少しずつ自分の利益を求めて搾取側にまわる過程に人間の弱さが垣間見え、ひどく切ない。子どもを守り、生き抜くためと割り切る彼女だが、労働者もまた家族のために低賃金で働かなければならず、この構造に心がひりひりする。

お互いに「あの人は私がいないと生きていけない」と思い込んでいる、長年連れ添った仲良し中年夫婦。実はそれぞれ不倫中で、若い愛人との結婚を考え始めた夫は、ついにある計画を実行する…。1940年代のアメリカを舞台に、ブラックユーモアを交えながら結婚生活の勘違いと思い込みを浮き彫りにした、大人のためのコメディ。夫婦の秘密をにぎり、事態を客観的に観察する夫の親友をピアース・ブロスナンが演じている。今となっては考えられないが、登場人物たちがいつでもどこでもタバコをすぱすぱという、古き良き時代の風俗もおもしろい。