ダゲレオタイプの女
ただならぬ妖気漂う郊外の古風な屋敷で、世界最古の写真撮影法”ダゲレオタイプ”を再現するステファン(オリヴィエ・グルメ)に撮影助手として雇われたジャン(タハール・ラヒム)。被写体の娘マリー(コンスタンス・ルソー)に長時間露光のために「拘束」を強いる撮影はまさに命がけ。写真のことしか頭にない偏屈な父からの自由を夢見るマリーにジャンは心を寄せるが、やがて奇妙な現象が起こり始め…。古典的な写真の圧倒的な魅力、幽霊たちの優雅な気配、死と生がクロスする幽界をあの手この手で魅せてくれる黒沢清監督作品の醍醐味倍増。マチュー・アマルリックも「ぜひ出たい!」と駆けつけた初フランス撮影にてただならぬ新境地を開いた。


カンヌ、ヴェネチア、ベルリンといった世界三大映画祭に出品され、ヨーロッパを中心に世界中で高い評価を得ている黒沢清監督。2015年カンヌ国際映画祭ある視点部門で『岸辺の旅』が監督賞を受賞し、本年も『クリーピー 偽りの隣人』がベルリン国際映画祭に出品され、好評を博した。その黒沢監督がオールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語のオリジナルストーリーで挑んだ初めての海外進出作品『ダゲレオタイプの女』。監督以外はキャストも含めすべてが現地スタッフの中、撮影は行われた。主人公のひとりとも思えるほどにこだわり抜いたロケーション、不穏さを漂わせる空気さえ映し込んだような画面……。ホラーでいてヒューマンドラマ、ジャンルも、生死も、国境も超えた、まぎれもない黒沢印の新たな傑作が誕生した。
ダゲレオタイプの写真家ステファンのアシスタントに偶然なったジャン。その撮影方法の不思議さに惹かれ、ダゲレオタイプのモデルを務めるステファンの娘マリーに恋心を募らせる。しかし、その撮影は「愛」だけではなく苦痛を伴うものだった……。芸術と愛情を混同したアーティストである写真家のエゴイスティックさ、父を慕いながらも拘束され続ける撮影と家を離れ自らの人生をつかみたいマリーの想い、撮影に魅了されながらもただマリーとともに生きたいジャンの願い、そして、自ら命を絶っていたステファンの妻の幻影……愛が命を削り、愛が幻影を見せ、愛が悲劇を呼ぶ。世界最古の撮影を通して交わされる愛の物語、愛から始まる取り返しのつかない悲劇。これまでにないクラシカルで端正なホラー・ラブロマンスが誕生した。
主人公を演じるのはジャック・オディアール監督作品『預言者』でセザール賞の主演男優賞と有望若手男優賞をダブル受賞したほか数々の映画賞を受賞、アスガー・ファルハディ、ファティ・アキンなど名匠とのタッグが続く実力派俳優、タハール・ラヒム。ダゲレオタイプに魅かれ、やがて悲劇に飲まれる男、ジャンを存在感たっぷりに演じた。ジャンが恋心を抱くヒロインには『女っ気なし』で注目を集めた女優コンスタンス・ルソー。写真家の娘マリーを愛らしく、儚く、そして、魅力的に演じる。そして、ダルデンヌ兄弟作品で知られるオリヴィエ・グルメがダゲレオタイプの写真家ステファンの傲慢さと苦悩を体現し、さらには数々の名作に出演しているマチュー・アマルリックが脇を固めている。フランス映画界のみならず、世界の映画界を支える名優たちが競演し、『ダゲレオタイプの女』の世界を見事に形にした。映画音楽を担当したのはデプレシャン監督作品で知られるグレゴワール・エッツェル。数々の映画音楽を手掛けてきたエッツェルが本作のためにアビーロードスタジオで映画音楽を収録、唯一無二の黒沢世界を美しく彩っている。
監督・脚本: 黒沢清
キャスト: タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリビエ・グルメ、マチュー・アマルリック他
上映時間: 131分
配給: ビターズ・エンド
2016年10月15日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
ヒューマントラストシネマ有楽町日程終了
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エリア | 有楽町・日比谷 |
住所 | 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町イトシア・イトシアプラザ4F [ 地図を表示 ] |
アクセス | JR山手線「有楽町駅」中央口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線「有楽町駅」D7-b出口より徒歩1分。地下鉄銀座線・日比谷線・丸の内線「銀座駅」C-9出口より徒歩2分。 |
電話番号 | 03-3283-9660 |
会場ホームページ | http://www.ttcg.jp/human_yurakucho/ |
日程 | 2016年10月15日~終了日未定 |
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